はぴの本棚

2003年からの読書日記

あれから―俵万智3・11短歌集作者: 俵万智,山中桃子出版社/メーカー: 今人舎発売日: 2012/03/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見る

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今回の本は震災後10カ月の間に詠んだ短歌をまとめたもの。
3・11以前は宮城県の仙台で暮らしていた俵さん。
震災後仙台を離れ、南の島(沖縄?)へ息子さんと避難、そのまま現在暮らしているそうです。


当時は俵さんに対する非難など色々あったようですが、あとがきの

>不安をより少なく、と私は思った。シンプルにいえば、そういうことだ。

はとてもよく分かる気がしました。


私は被災地には住んでいないし、避難もすることはなかったけれど母が子を思う気持ちはやっぱり共感するものがあり、胸に迫りました。


特に印象に残った短歌を挙げておきます。

>ゆきずりの 人に貰いし ゆでたまご 子よ忘れるな そのゆでたまご

>まだ恋も 知らぬ我が子と 思うとき 「直ちには」とは 意味なき言葉

>子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え

>もう一人のわたくしがいて三月の予定通りの世界に生きる

>何色にもなれる未来を願う朝 白いガーベラ君に手渡す


先月、親子防災教室で震度7(親のみ)を体験させてもらいましたが、来ることが分かっている揺れにもかかわらずものすごい恐怖を感じました。
しっかり固定された家具の部屋にいても激しい揺れと怖さで全く動けなかったことを覚えています。

東北の人達は震度7(またはそれに近い揺れ)をいきなり体験して、どんなに恐ろしかったことでしょう。
地震津波、そして原発事故。
多くの亡くなった人達のことを思うだけで今も涙が出そうになります。


こんなに地震の多い国にもかかわらずこれまで原発が54基も作られてしまったこと。
福島の原発事故はいまだに収束していないのに、再稼働を進めている日本・・・強い違和感を覚えます。


これから生まれ育ち未来を創っていく子ども達のためには、原発のない日本そして世界になってほしい!
この作品を手に取ってますますその思いを強くしました。