はぴの本棚

2003年からの読書日記

和菓子のアン作者: 坂木司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2010/04/20メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 44回この商品を含むブログ (67件) を見る

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坂木司さん、初めて読みました。
覆面作家でデビューしたそうで現在も性別など非公表とのこと。
他の作品が未読なので確信はできませんが、なんとなく女性かなという印象を持ちました。



赤毛のアン』ともじったタイトルが絶妙。
主人公の杏子は食べるのが大好きなちょっと太めの女の子。
容姿が気になるお年頃だけれど、自分のことを客観的に見ることができるし、東京下町の育ちで愛想がよく、勘もいい。
デパ地下の和菓子屋でアルバイトはまさに適職だったんですね。
アンちゃんの和菓子への愛を感じる言葉を聞いたらきっと買いたくなりそう。


株で豹変する店長の椿さんや、乙女系の立花くん、元ヤンキーの桜井さんなど周りの登場人物も個性豊かで楽しめました。



日常の謎的な物語になってますが、やっぱり魅了されたのは和菓子のこと。

半殺しくらいは知っていたけれど、腹切り、菓子が泣く、天ぷら、竿ものなど初めて聞く言葉もたくさん。
駄洒落や言葉遊びに関東と関西の違いなど、もっともっと和菓子について知りたくなりました。



>江戸時代の人が作ったデザインが今も使われてるなんてすごい。

>「この国の気候や湿度に合わせ、この国で採れる物を使い、この国の人びとの冠婚葬祭を彩る。それが和菓子の役目」


昔からの伝統を守りつつも時代の流行も取り入れていく自由な感じが素敵です。


以前から好きだったんですが、和菓子の繊細さ、奥深さにますます興味が出てきました。
なじみの美味しい和菓子屋さんを見つけて季節ごとに味わってみたいです。