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2003年からの読書日記

ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)作者: ジョン・ハート,東野さやか出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/04/09メディア: ペーパーバック クリック: 14回この商品を含むブログ (32件) を見る

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早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品とのこと。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞&英国推理作家協会賞最優秀賞スリラー賞受賞。

出版社の内容紹介から。

少年ジョニーの人生はある事件を境に一変した。
優しい両親と瓜二つのふたごの妹アリッサと平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。
その後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように……。
少年の家族は完全に崩壊した。
だが彼はくじけない。
ただひたすら家族の再生を信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける。


たくさんの人が死ぬし、子どもが不幸な物語は苦手なのに読んでよかったと思えるのは不思議。
読後感も予想以上にさわやかで驚きました。
あまり知識を入れず白紙の状態で読むのをおすすめします。


主人公のジョニーは13歳。
彼の置かれた環境は本当にひどくて途中まで読むのが辛かったです。
妹に続き父の失踪、母まで壊れてしまう中、自分でなんとかしようとする姿はとっても切なくなりました。
ずっと応援しているような気持ちで読んでいた気がします。


事件の真相が二転三転、四転、五転?くらいして最後まで翻弄されました。
タイトルの「ラスト・チャイルド」の意味もなるほどと思いました。
ミステリとして楽しむだけに終わらず、家族や友情など人間の絆について考えさせられる物語という印象でした。
池上冬樹さんの解説で過ちや間違いが重要なテーマになっているとあるのも納得。


『川は静かに流れ』もいつか手に取ってみたいと思います。