はぴの本棚

2003年からの読書日記

天地明察作者: 冲方丁出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/12/01メディア: 単行本購入: 28人 クリック: 758回この商品を含むブログ (405件) を見る

(470)
2010年本屋大賞を第1位&吉川英治文学新人賞受賞作です。
読み始めてすぐ面白い!と思うことは珍しいのですが、これはまさにそんな作品でした。


囲碁や算術についてはよく分からないものの物語の面白さに助けられ夢中になって楽しめました。

主人公の渋川春海(安井算哲)が魅力的。
囲碁と算術以外はパッとしないところ(笑)がいいですね。
刀を差してもふらついたり、すぐ泣くところでさえチャーミングに感じてしまいました。
こんな人物が日本にいたことさえ知らなかったので書いてくれた著者に感謝です。



春海が何度も挫折を経験しながら諦めず努力する姿勢には心打たれました。
20年に及ぶ改暦の大事業を成し遂げたのは一個人だったんですね。


保科正之関孝和は名前くらいしか知らなかったけれど小説のおかげで興味が湧きました。
他にもえんや村瀬、本因坊道策、建部、伊藤などの登場人物も素敵でした。



普段何気なく目にしている暦。


>今日が何月何日であるか。その決定権を持つとは、こういうことだ。
宗教、政治、文化、経済―全てにおいて君臨するということなのである。


改暦事業はこれまでをがらっと変えてしまう大変なことなんですね!
たかが暦、されど暦・・・本当にそうだと思いました。



>人には持って生まれた寿命がある。だが、だからといって何かを始めるのに遅いということはない。


時間や自分の年齢のせいにして諦めることもあったのですが、要は気持ちで年齢なんて関係ないんですよね。
春海の姿に勇気をもらったような気がします。


次回作の『光圀伝』(仮)も今から楽しみです。
時代小説はあまり読んでこなかったけれど、これからは意識的に手に取りたいと思いました。