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2003年からの読書日記

氷上の光と影 知られざるフィギュアスケート作者: 田村明子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/02/24メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (18件) を見る

バンクーバーオリンピックは終わってしまいましたが、フィギュアスケート熱はまだまだ冷めそうにありません。

本書は2007年に書かれたもの。
主にトリノオリンピックのことが書かれていましたが、フィギュアスケートの舞台裏が分かりとても面白かったです。


著者の田村明子さんは、1977年留学のため単身渡米し、現在まで米国・ニューヨーク在住。
フィギュアスケートの取材は1993年からはじめ、長野五輪では運営委員として海外メディアを担当。
ソルトレイクシティ五輪、トリノ五輪バンクーバー五輪を取材されています。


熱いんだけど冷静、広く客観的な目を持っていると感じたのは田村さんが純粋にフィギュアスケートを愛しているという気持ちがあるからでしょうね。
日本の選手だけじゃなく世界の選手をよく見ているし、選手からも信頼されている様子が伝わってきました。



ケリガン襲撃事件をきっかけにルール改正など大きな影響があったという話は興味深かったです。
グランプリシリーズができた理由も分かったし、ジャッジの採点はカナダ絡みが多いというのも知ることができてよかったです。


ジャッジの難しさ、スイングジャッジの存在などは採点方式が改良されてもずっとついて回る問題のようです。
国際的に認められるジャッジになるのは大変なことなんですね。
日本でも国際ジャッジの中の最高ランクISUジャッジは10人ほどしかいないそうで(本書が描かれた当時)金銭的にも支援が乏しく厳しいものがあることも分かりました。



伊藤みどり選手から日本のフィギュア黄金時代は始まったということ。


荒川静香さんが滑りとジャンプを兼ね備えた選手というのも納得。

天性のものを持っている浅田真央選手というのも本当にそうだと思いました。


キャンデロロ選手の演技は今でも印象に残っていますがコリオグラファー(振付師)の存在があってこそだったんですね。
これからはコーチやコリオグラファーにも注目してみたいと思います。



カナダの名コリオグラファー、デヴィッド・ウィルソンの言葉。
>「選手には、勝ち負けを超えたところに行って欲しい。メダルが取れた、取れないということよりも、本当の自分が誰なのかを氷の上で表現してほしいんです」


ミシェル・クワン選手の言葉。
>「時には納得できない採点も出る。でもそれは、誰にでも平等に起こりうることです」


タチアナ・タラソワコーチの言葉。
>「裏で何があるのか、私は知らない。でも本当にいいものを見せたら、ジャッジは絶対にわかってくれる。私はそう信じています」


つい順位やメダルに注目してしまいがちな自分を反省・・・フィギュアスケートって奥が深いです。


『氷上の美しき戦士たち』『パーフェクトプログラム』もぜひ読みたくなりました。
これからますますフィギュアスケートに目が離せなくなりそうです。