はぴの本棚

2003年からの読書日記

玻璃の天 (文春文庫)作者: 北村薫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/09/04メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 20回この商品を含むブログ (67件) を見る

ベッキーさん>シリーズ第2弾。

前巻から1年後、英子の周りではまだそんなに感じられないものの、時代の暗さが着実に増してきています。


「幻の橋」「想夫恋」「玻璃の天」を収録。
読み進むにつれて謎だったベッキーさんの過去が少しずつ明らかになっていきます。


特に最後の「玻璃の天」ではなんともいえない後味が残りました。
ベッキーさんの過去が分かってすっきりしたけれど、なんて辛い人生だったんだろうと・・・
どういう思いでこの職業につくことを選んだのか想像するだけで切ない気持ちになりました。


桐原大尉の言葉、
>「あなたに、ドアを開けさせてはしませんでしたよ」
は最初何のことか分からなかったのですが、そういうことだったんですね。


岸本葉子さんの解説で改めて納得、読み返すと気になっていた言葉がぴたっ、ぴたっとはまりました。
北村さん、さすが巧いですね。


次はいよいよ直木賞を受賞した『鷺と雪』

ベッキーさんと桐原大尉、英子と若月少尉のその後も気になります。


>「わたし達が進めるのは前だけよ」

歴史ではこの先日本が進んでいく道が分かっているし、決して明るいものではないんだろうけど・・・
私も一緒に登場人物達を見守っていきたいと思います。