はぴの本棚

2003年からの読書日記

『秘密の花園』ノート (岩波ブックレット)作者: 梨木香歩出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/01/09メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (11件) を見る

梨木香歩さんが書いた本書が出ると知ったのをきっかけに『秘密の花園』(西村書店版)を手に取ったんですが、すごく素敵な物語で感動!
あらすじをなんとなく知っているだけだった物語を味わうことができました。
子どもの頃、読んでいればよかった・・・と思う作品がどんどん増えているこの頃です。

引用されている文章が岩波少年文庫だったのでこちらもぜひ読みたいです。



岩波ブックレットは今回初めて購入しましたが、薄い冊子(71ページ)なのに内容はすごく濃い。
値段もお財布に優しい(560円+税)文庫並みなのもポイントが高いです。
著者が梨木さんということもあるかもしれませんが、かなりお得な気がしました。


さて本書、梨木さんが『秘密の花園』の世界を読み解く案内をしてくれます。


メアリの出会う生きものが彼女の成長に合わせて冷たいものから血の通った温かいものに変わっていくこと、屋敷にかかっていたメアリによく似た「緑のドレスの少女」の絵について、庭の再生に必要な光と同じように人間のメアリに光を与える存在のマーサ、ディコン、スーザンなど、自分で読んでいた時には気づかなかった細部の楽しみ方を教えてもらいました。


といってもただの研究書という感じでは全くなく、作品を大切に思っている気持ちがじんわり伝わってくるような文章なのもよかったです。
梨木さんも『秘密の花園』の影響を受けているんでしょうね。
『裏庭』『からくりからくさ』などご自身の作品も植物の描写が素晴らしく、その不思議な力が印象的に描かれているものが多いような気がします。
久々に再読してみたくなりました。



また本を読む作業について書かれた文章も素敵でした。

>〜受け身のようでいて、実は非常に創造的な、個性的なものだと思われます。それぞれが、それぞれの人生という「庭」をつくる作業にも似ています。すでに自分に与えられてある、「動かし難い」ものを、どう読み込み、解釈し、自分の心象風景にフィードバックさせていくか、というところまで。


読書が好きで本当によかった!
これからも読書を通して私自身の庭をもっともっと豊かなものにしていきたいです。


>「自分だけの庭」を、育てるために。
それを、秘密の、花園とするために。