はぴの本棚

2003年からの読書日記

カラーひよことコーヒー豆作者: 小川洋子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2009/11/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (29件) を見る

女性誌『Domani』に連載されていたエッセイに書き下ろしを加えたものだそう。
『Domani』は書店に並んでいるのを知っているくらいで手に取ったことはないのですが、小川さんの説明によれば「仕事、私生活、お洒落、すべてに手を抜かず頑張っている若い女性たちのための雑誌」みたい。
働く若い女性に対しての優しいまなざしだったり、読むと気持ちが温かくなるエッセイがたくさん収められていました。


若い頃の思い出がいくつか語られていたのですが、その当時の小川さんの姿を想像して微笑ましく読みました。


「本物のご褒美」は素敵なエッセイでした。
手こずった小説が形になった時に大好きなアンティークの品を自分のご褒美としてこっそり買う小川さん。
私も自分へのご褒美を時々するので強く共感してしまいました。

でも本物のご褒美は「記憶に深く刻まれるご褒美」なんですね。
博士の愛した数式』のエピソードには感動してしまいました。



「料理の喜び」で語られる料理と小説の似ている点はなるほどと思いました。



「千年の時が与えてくれる安堵」も印象に残っています。
教科書で一部を習ったくらいの『枕草子』、俄然興味が湧いてきました。

>人間は、千年前の人と同じ悩みで苦しんでいるんだなあ、と思う。社会の仕組みも生活環境もこんなに変わったのに、心の中は大して変わっていない。そう考えるとなぜか心が安らぐ。自分が今抱えている問題は、自分一人が背負っているのではない。人間が誕生して以来、ずっと変わらず、繰り返し繰り返し悩みぬかれている問題なのだ。自分は孤立した一個の点ではなく、延々と続く長い川の一部にすぎない。だから大丈夫なんだと、どこからともなく元気が湧いてくる。


清少納言の現代的な女性観に注目した小川さん、さすがですね。




以前『心と響き合う読書案内』でも取り上げられていてチェックしていた『錦繍』はこの秋必ず読もうと思います。


そして、本のタイトルにもなっているカラーひよこ。
小川さんより一回りくらい年下の私ですが、子どもの頃お祭りでカラーひよこを見た記憶は残ってます。
時代とともにいつの間にか消えてしまったカラーひよこ・・・懐かしく思い出しました。