はぴの本棚

2003年からの読書日記

夜は短し歩けよ乙女作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/11/29メディア: 単行本購入: 40人 クリック: 2,165回この商品を含むブログ (981件) を見る


どこかで耳にしたことがあるタイトルだと思って調べてみたら、「命短し恋せよ乙女」をもじったものだったんですね。

ずっと興味があった作家、森見登美彦さん。
これまでは雑誌の短編を読んだくらいなので、今回が初めての小説でした。


>独特の文体と奇想に満ちた作風を身上とする。
と奥付で紹介されているのがまさにぴったり!なんともいえない魅力がありました。



「読者諸覧」「満腔の憎しみ」「偕老同穴」などなど日常ではまず使わないような難解な言葉がぽんぽん登場するのにびっくり。
そうかと思えば、「おともだちパンチ」「偽電気ブラン」など著者独特の表現もあり・・・硬軟いい感じでブレンドされているのが持ち味かな?

森見さんが京都で大学生活を送っていたのもあるのでしょうが、京都の地名がたくさん出てきます。
京都の読者はなじみのある地名を目にすることができてよりうれしいんじゃないかなと思います。


一目惚れしたサークルの後輩を偶然の出会いを装いつつ必死で追いかける主人公の姿が滑稽でもあり、切なくもあり。
これ、一歩間違えばストーカーですよね(笑)
当の彼女もよく言えば純真無垢、天然ボケ?なんともいえないおとぼけぶりがかわいらしかったです。


語をおおざっぱにまとめてしまえば大学を舞台にした恋愛ものになるんでしょうけど、それだけでは終わらないのがいいですね。

李白老人、樋口さん、羽貫さん、不思議な少年など登場人物もひと癖ある方々で面白かったです。
不思議な出来事もちりばめられていて時折、異世界に迷い込んだ気分になりました。


特に印象に残ったのが第二章の深海魚たち。
読書好きなら皆そうかもしれませんが、古本市ってなんて楽しそうなんでしょう!
古本市をじっくり巡って自分の一冊というべき本と出合いたいものです。
ずっと夢見ている古本市巡り・・・いつか実現させようと改めて思いました。


自分の年齢より若い作家さんの活躍がずいぶん増えてきましたが、森見さんも1979年生まれ。
京都大学農学部卒で修士課程も修了されている経歴も珍しいと思いました。
他の作品も少しずつ読んでいきたいです。