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2003年からの読書日記

九つの銅貨 (福音館文庫 物語)作者: W.デ・ラ・メア,清水義博,Walter De la Mare,脇明子出版社/メーカー: 福音館書店発売日: 2005/01/20メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (4件) を見る

『昨日のように遠い日』で著者の「謎」を読みすっかり魅了されてしまったので、これを機にもっと作品を読みたいと思っていました。


ウォルター・デ・ラ・メア1873年生まれ。
イギリスを代表する詩人での一人であり物語作家です。
私より100年以上前に誕生した方だったんだとちょっとびっくり。


『子どものための物語集』から5編が収められています。


チーズのお日さま
九つの銅貨
ウォリックシャーの眠り小僧
ルーシー
魚の王さま



どれも風景描写が美しく、不思議でちょっと奇妙な物語。
妖精や小人や人魚などがごく当たり前のように登場するのもなんだかおかしかったです。

また著者が詩人だというのも大きく関係しているのでしょうか?
独特の世界を感じました。


気に入ったのは表題作の「九つの銅貨」と「魚の王さま」


しかし、好みだと思うものがある一方、出口の分からない迷路に入り込んでしまったままいつの間にか物語が終わっていたというものもあり、正直混乱。
すっかりデ・ラ・メアに翻弄されてしまったような感じでした。
私は結末でポーンと放り出されてしまう物語が苦手みたいです。


あとがきにもありましたが、
>もう何もかもデ・ラ・メアまかせのつもりで読まないと、当惑させられてしまうかもしれません。

まさにその通りだと思いました。


それでもやっぱり物語が魅力的なのは

デ・ラ・メアが子どもの目で世界を見ることができ、それをそのまま壊さずに伝えるだけの言葉をちゃんと持っているからです。

ということなのかもしれません。


筋書きとか難しいことを考えず物語に心をゆだねてゆらゆら漂いながら味わって読むのが一番合ってるのかも。

次は詩集『孔雀のパイ』を読んでみたいと思います。