はぴの本棚

2003年からの読書日記

ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)作者: アゴタクリストフ,Agota Kristof,堀茂樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2001/11/01メディア: 文庫購入: 38人 クリック: 327回この商品を含むブログ (120件) を見る

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悪童日記』の続編となる本書。
双子の兄弟のうち一方は国境を越え、他方は故国にとどまるという場面で終わっていたのですが、この巻では残ったリュカ(LUCAS)が語り手となり物語が続いていきます。


淡々とした印象は変わらず読みやすいものの、なんだか別の物語のよう。
重いムードはそのまま続いているんですが、一心同体のようだった双子が今回別々になってしまったというのもあり、リュカの孤独を強く感じました。


ヤスミーヌ、その子どものマティアス、クララ、ヴィクトール、ペテール、不眠症の男ミカエル・・・前巻に加えて新たな登場人物もたくさん登場します。
リュカを取り巻く人物達はリュカの孤独を反映しているのか?色々なことで傷ついて、孤独を感じている人々が多いように思いました。



>「われわれは皆、それぞれの人生のなかでひとつの致命的な誤りを犯すのさ。そして、そのことに気づくのは、取り返しのつかないことがすでに起こってしまってからなんだ」

ペテールのこの言葉がとても印象に残りました。


そして気になったのはリュカが時々双子のクラウス(CLAUS)について語っている時の周りの反応。
なぜか他の人々は双子を存在しないもののように扱うのが不思議でした。

でも、最後の章でそれまで出番のなかったクラウスが登場してリュカが姿を消している・・・
本当はリュカがいなかったのかも?と思わされてしまい・・・謎がさらに深まった感じです。


解説にありましたが、双子の名前の関連も興味深いです。

>互いにアナグラムの関係にあるこの二つの名前は、ほんとうに別の名前だろうか。そして、ほんとうに異なる二人の人物を指示しているのだろうか。


なんだか三部作ラストの『第三の嘘』で大きなどんでん返しが待っていそう。
早く先が知りたくてたまらなくなりました。