はぴの本棚

2003年からの読書日記

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)作者: アゴタクリストフ,Agota Kristof,堀茂樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2001/05/01メディア: 文庫購入: 100人 クリック: 3,630回この商品を含むブログ (276件) を見る

毎年読もう読もうと思いながら数年経ってしまっていたこの作品。
今年こそは!とやっと重い腰をあげることができました。
悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』の三部作、じっくり読んでいこうと思っています。


まず『悪童日記』、想像していた以上に読みやすかったことに驚きました。
でも、それに反して内容は重いです。

主人公であり語り手の双子の「ぼくら」が母親に連れられて祖母の家にやってくる場面から物語が始まります。
「ぼくら」の作文によって祖母の家での彼らの暮らしが淡々と語られていくんですが、かなり壮絶な体験が盛りだくさん。

>死、安楽死、性行為、孤独、労働、貧富、飢え、あるいはまたエゴイスム、サディスム、いじめ、暴力、悪意、さらには戦争、占領、民族差別、強制収容、計画的集団殺戮など、普遍的なものであれ、歴史的色彩の濃いものであれ、シリアスな問題が物語の随所に仕込まれている。

抜粋した解説でも分かるように、読み始めてすぐ普通の小説じゃないと思わされました。


双子のやることは理解できない部分がほとんどだったのですが、彼らなりのルールがあるようで嫌悪感がわくまでには至りませんでした。
読書中も読後感も・・・決してよくないです。
でも先を読まずにはいられない吸引力のある不思議な作品でした。


一心同体のように過ごしてきた双子が離れ離れになった第2作『ふたりの証拠』。
どういう展開になるのか、これからも目が離せなくなりそうです。