はぴの本棚

2003年からの読書日記

やんごとなき読者作者: アランベネット,市川恵里出版社/メーカー: 白水社発売日: 2009/03/11メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 78回この商品を含むブログ (62件) を見る

老婦人になってから読書に目覚めたエリザベス二世の物語という設定がまず面白いです。
表紙も素敵♪

年を取ってから読書に夢中になってしまった女王様。
次第に公務に支障が出るほどのめり込むようになり、周囲はやきもき。
服装にも気を遣わなくなったためアルツハイマーかと疑われる始末(笑)

個人の楽しみである読書なのに女王だから歓迎されないというのはちょっとかわいそうでしたが、多大な影響力があるので仕方ないんでしょうね。

ただ読むだけだった段階から鉛筆片手にちょっとした感想を書き留めるようになり、さらには自分との対話を深めていく・・・

読書に目覚めた喜びがこちらまで伝わってくるようでうれしくなってしまいました。
本を読むことで人の気持ちを思いやるようになったのも大きな変化だったと思います。



>本は何者にも服従しない。すべての読者は平等である。

読書ってすごいですね!
国を超えて、人種を超えて、女王様と一般人という垣根を超えて共感できるんですから。



>一冊の本は別の本へとつながり、次々に扉が開かれてゆくのに、読みたいだけ本を読むには時間が足りないことである。


>「本は暇つぶしなんかじゃないわ。別の人生、別の世界を知るためのものよ。」


>「本は想像力の起爆装置ですもの」


読書好きには頷ける文章があちこちに散りばめられていてニヤリとしてしまいました。



残念だったのは登場するたくさんの作家の名前をほとんど知らなかったこと。
ウォルター・デ・ラ・メアジェイン・オースティン、ブロンテ姉妹の作品を少し読んだくらい。
私も読書の筋力をつけて出合えたらいいなと思いました。


著者の小説はこれが初訳だそうです。
他の作品も邦訳されたら手に取ってみたいと思いました。