はぴの本棚

2003年からの読書日記

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))作者: ロバート・A・ハインライン,福島正実出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1979/05メディア: 文庫購入: 46人 クリック: 601回この商品を含むブログ (469件) を見る

毎年夏になったら読みたい、読もうと思っていた作品。
やっと読めました。


時は1970年、共同事業をしていた親友と恋人に裏切られて失意のどん底にいたダニエル。
仕事も失い、大切な発明も騙し取られ、酒に溺れる日々・・・
冷凍睡眠で30年後の2000年にタイムスリップすることになります。


いざやってきた未来ですが、30年も経つと勝手が違って戸惑うことばかり。
急激な変化にカルチャーショックを受けるのも当然だと思いました。
そんな中、主人公が仕事を見つけ少しずつ適応していく姿がリアルでした。


SFはほとんど読まないし、発明用語など難しいところがあり読み飛ばしてしまう部分はあったけれどなかなか楽しめました。

結末がうまくいきすぎかなとは思ったんですが、ハッピーエンドが好きなのでこれはこれでよかったのかも。


印象に残っているのは一度騙されてひどい目にあった主人公が未来に行ってもやっぱり人間を信用しようとする場面。

>なんどひとに騙されようとも、なんど痛い目をみようとも、結局は人間を信用しなければなにもできないではないか。まったく人間を信用しないでなにかやるとすれば、山の中の洞窟にでも住んで眠るときにも片目をあけていなければならなくなる。いずれにしろ、絶対安全な方法などというものはないのだ。ただ生きていることそのこと自体、生命の危険につねにさらされていることではないか。そして最後には、例外ない死が待っているのだ。


いくら技術が発達してもロボットや機械ではできないこともあるはず。
もちろん裏切られる可能性もあるけれど、心の絆や温かい信頼関係を作れるのはやっぱり人間なのかもしれません。



忘れてはならないのが相棒の牡猫ピート。
なかなかの存在感でいい味を出していました。
著者はかなりの猫好きなんでしょうね。
私は猫がそんなに好きではないのでベルみたいに積極的に近づきはしませんが(笑)猫好きな人ならより楽しめる物語だと思いました。


自分が暮らしている現代の生活について改めて考えるきっかけにもなりました。
一家に一台の文化女中器までとはいきませんが、生活はずいぶん便利で快適になっています。
先日テレビで見ましたが、二足歩行ロボットはずいぶん進化しているようだし、リアルな人型、介護用、農業用、癒しロボットなど色々発明されているようです。
著者が描いていた未来の姿にも少し重なるように思いました。


冷凍睡眠やタイムマシン、なんだか怖いけれど未来を見てみたい気はします。
もっと安全性が高まって資金もあれば・・・行ってみたい気持ちになるのかも。
でも結局自分が生きている日常、今この瞬間が一番なのかなとも思ったりするのでした。


夏への扉[新訳版]

夏への扉[新訳版]

最近出版されたこちらの新訳版もいつか読んでみたいです。