はぴの本棚

2003年からの読書日記

九年目の魔法 上 (Sogen bookland)作者: ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,浅羽莢子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2004/11/06メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る九年目の魔法 下 (Sogen bookland)作者: ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,浅羽莢子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2004/11/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る

久々にジョーンズ作品を読みました。
そのせいか1度目は混乱したまま読み続け、理解不能で終了^^;
このままではもったいないので再度走り読みしてだいぶ内容が掴めました。

時間が前後していたのが混乱した原因かもしれないし、物語に登場する「詩人トーマス」や「タム・リン」の内容を詳しく知らなかったせいもあるのかな?
でもそんなことを抜きにしても十分堪能できました。
時を越えたラブストーリーとして、また魔法や妖精譚も絡んでとても面白かったです。


主人公の女子大生ポーリィはある本をきっかけに自分の記憶が2種類あることに気づきます。
ずっと忘れていた記憶は9年前ハンズドン館のお葬式に紛れ込んだ日から始まっていました。
そこでチェロ奏者のトーマス・リンと出会ったこと。
自分じゃないなにかになるごっこ遊びが好きだったポーリィはリンさんと英雄ごっこを楽しみます。
それが現実になっていくというのが単純に面白かったけれど、後々考えるとそれには隠された大きな意味があったんですね。


大切な記憶を今までどうして忘れていたんだろう?
ポーリィは10歳のハロウィンの日から振り返りつつ失われた記憶を少しずつ思い出していきます。
リンさんをもう一度救い出すため記憶を取り戻したポーリィがとった行動とは?



リンさんがプレゼントしてくれた本たちも素敵でした。
読んだことのある『トムは真夜中の庭で』『砂の妖精』『ライオンと魔女』『指輪物語』などの登場はうれしかったし、
未読でも気になるものがたくさんありました。
『三銃士』『黒馬物語』『金枝篇』『よろこびの箱』はいつか手にとってみたいです。
これらの物語がポーリィにリンさんの状況を伝えるためのメッセージというのも本好きにはたまらなかったです。



ジョーンズさんの物語には嫌な大人がけっこう登場するのですが、今回もポーリィの置かれている状況があまりにもかわいそうで同情してしまいました。
父親もだけれど特に母親!

>「あたしはほんの少し、幸せがほしかっただけなのに」
というセリフが何度も出てくるんですが、その都度自分のことを棚にあげ周りのせいにしてふさぎこむ母親がなんともいえず悲しかったです。
きっとこの性格はずっと変わらないんでしょうね。




ここから少しネタバレになるので未読の方は注意。




再読してだいたいは分かったけれど結末がまだいまひとつはっきり理解できていない私。
結局ポーリィの勝利になったわけですが、「もう顔も見たくない!」と言ったから今後リンさんとは二度と会えないことになるのかな?
それとも顔を見ないだけでこれからも会い続けることができるということ?
そこだけが微妙にひっかかっています。