はじめての文学 小川洋子作者: 小川洋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/06/15メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (20件) を見る
ずっと気になっていた文藝春秋の「はじめての文学」シリーズ。
「はじめて現代の日本文学にふれる若い読者のために」とあるように作家達が自作の中から選んだ中短篇+書き下ろしが収められています。
まずは最近注目している小川洋子さんから読んでみました。
収録されている作品がどれも未読だったので新鮮な気持ちで読めました。
冷めない紅茶
薬指の標本
ギブスを売る人
キリコさんの失敗
バックストローク
書き下ろし「カタカタ鳴る本」
どれもよかったのですが、特に強烈な印象だったのは「薬指の標本」
標本室という特殊な閉じた空間の設定から一気に惹き込まれてしまいました。
現実にはないだろうと頭では感じているのに、もしかしたらあるかもと思わされてしまうんですよね。
主人公のわたしが職場の事故で薬指を挟まれる場面がものすごくリアルに想像できてしまったのにもびっくり。
少し気持ち悪くなったので、一度本を置いて落ち着いてから読んだくらいでした。
弟子丸氏から靴をプレゼントされる場面や気になるラストも印象的でした。
この作品はフランスで映画にもなったそうです。
小川さんの小説はフランスで特に人気があるというのも最近知りました。
これまで『博士の愛した数式』『ミーナの行進』しか読んだことがなかったので、かなり違った印象を持ちました。
比較的初期のものが収録されていたからかもしれません。
静かで美しい雰囲気は共通しているんですが、幻想的で不気味な感じがより強いように思いました。
新たな(本来の・・・かな?)小川ワールドを発見した感じでますますはまりそうです。
このシリーズは他に、村上春樹、村上龍、よしもとばなな、宮本輝、宮部みゆき、浅田次郎、川上弘美、重松清、桐野夏生、山田詠美、林真理子のものが出版されているとのこと。
中短編なので読みやすいし、気に入れば他の作品も読んでみるいいきっかけになると思いました。
これまで一度も作品を読んだことがないのは桐野夏生さん。
いつか挑戦してみたいです。