はぴの本棚

2003年からの読書日記

(365〜367)
SNSの今月の課題本だったので読みました。
笙野頼子さん。

笙野頼子三冠小説集 (河出文庫)

笙野頼子三冠小説集 (河出文庫)

本当は三冠小説集を借りたかったのだけど、図書館にはなく単品で読むことにしました。

ちなみにこの三賞を一人ですべて受賞しているのは2008年現在まで笙野頼子さんのみだそう。



3作品読んだ感想をまとめてUPします。

「なにもしてない」野間文芸新人賞
「二百回忌」三島由紀夫賞
「タイムスリップ・コンビナート」芥川賞
の順に読みました。


「なにもしてない」
小説を書いて細々と暮らしている主人公。
接触性湿疹がかなりひどくなっても、アパートから出られず(逆によかれと思って悪化させてしまうのがかわいそう)妄想を膨らませて耐える主人公の姿が強烈でした。
どうしても病院に行きたくない心境は分かる気もしますが、湿疹があまりにひどい状態になっているのが描写から想像できて読んでいる方もなんともいえない不快な気分になってしまいました。
両親、特に母親との関係もややこしくて難しい感じ。
何が言いたかったのだろう?と考えるといけないんでしょうね。
文章としては読みやすいんですが、かなりぶっ飛んでいた内容だったので圧倒されました。


「二百回忌」
強烈な印象は「なにもしてない」と同じ、いやそれ以上でしたがこちらの方が読みやすかったです。
3つの中で一番抵抗なく楽しんで読めたと思います。

赤い喪服で参加するという「二百回忌」という法事にまずびっくり!
時間も空間もゆがんでいて何が起こってもおかしくない日というのも興味深かったです。
「げえるげえる」という烏みたいな声で読む変わったお経を唱え、二百回忌用に作られた建物は実は食べられる蒲鉾でできていた・・・なんてかなり衝撃(笑)
法事なのになんて明るくてハチャメチャなんだろう?
この日だけ蘇える自分の祖先やゆかりの人々と交歓できる二百回忌って途方もなく遠い感じがしますが、実際あったら楽しそうです。
両親との関係はやっぱり希薄で縁が切れていたりするんですが、親族の行事には参加するのがまた不思議なところでした。


「タイムスリップ・コンビナート」
これが一番理解に苦しむ作品でした。
途中で何度も眠くなってしまったのも残念。
読んだどの作品にも当てはまるように思いましたが、現実と非現実が薄く重なっているような不思議で独特な世界でした。
最後も分からないまま読み終わってしまった感じです。


笙野頼子さん、私にはいまいち合わなかったけれど読む機会が作れたのはよかったと思います。