はぴの本棚

2003年からの読書日記

ストラヴァガンザ 花の都作者: メアリホフマン,Mary Hoffman,乾侑美子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2006/11/22メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る

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シリーズ3作目、完結編です。
これまでの2作と同じくらい分厚く読み応えのある物語でした。

新たにストラヴァガントするのはスカイというアフリカ系の少年。
病気の母親を世話する心優しい人物です。
彼の護符は青い香水ビン、ストラヴァガント先はジリアにある聖マリア修道院でした。
そこのスリエン師について見習い修道士として過ごすスカイが担う大きな役割とは?

ストラヴァガンテ大集合、オールスターキャストという感じでした。
大きな権力を持つキミチー家、それに敵対するヌッチ家との関係も気になりつつ、現代に暮らすスカイ、ジョージア、ニコラス(元キミチー家のファルコ)の日常も興味深くどちらの世界も夢中になって読みました。

『仮面の都』で現代からストラヴァガントしたルチアーノと『星の都』で逆に現代にやってきたファルコ。
どうしても元の世界に戻りたい気持ちが出てくる場面はやっぱり切なかったです。
そして皆が最後に下した決断。
また心が動く時があるかもしれないけれど、それでよかったのかなと思いました。

ストラヴァガントできるのは不幸な人間というのも切ないですが、そうすることによって病気がよくなったり、現状に救いができるというのは不思議だなと思いました。
世界をまたぐことによってバランスが取れるようになるということでしょうか?

今回の登場人物で特に印象に残ったのは孤児のサンドロ。
最初はキミチー家のスパイ、エンリーコの子分として走り回っていましたが、修道院のスリエン師やスカイと行動を共にすることが増えだんだん気持ちが変わってきます。
彼の心の動きや人々を救うためにとった行動には胸打たれました。

逆にキミチー家のニコロは少しかわいそうな気もしました。
権力は有り余るほど持っていたけれど心が寂しい感じで。

イタリアを舞台にしたファンタジー、とても楽しかったです。
お国柄かな?日本に比べると戦いの場面一つとっても、すごく華やかなイメージがしました。
(もちろん日本のファンタジーも大好きですが)
衣装や町の雰囲気などイタリア観光気分に浸れました。
メディチ家や歴史、美術などにもっと詳しいとより面白いんでしょうね。

この三部作が終わってしまうのは残念だけれど、また新たな作品が読めるのを楽しみに待ちたいと思います。

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ときわ姫 > だらだら続けないで、きっぱりとした終わり方に感動しました。どうしても戻れないことってあるんですよね。だからこそ、前に進む勇気を持たなきゃいけませんね。 (2007/07/26 16:57)
すもも > この本は図書館で二度も借りたのに、途中で挫折してしまいました。トントンさん、☆四つですね。三度目の挑戦にトライしてみようかしら(^^) (2007/07/26 20:08)
トントン > ときわ姫さん、おはようございます。私もこの終わり方でよかったんだと思いました。ジョージアの言葉も印象的でしたね!
>すももさんは以前二度借りてるんですね。登場人物が多いのと世界がコロコロ入れ替わるのがネックでしょうか?シリーズはだんだん面白くなっていった印象があるので一巻『仮面の都』が読めればすももさんもスラスラいけると思います。ぜひいつか挑戦してみてくださいね! (2007/07/27 06:12)