はぴの本棚

2003年からの読書日記

ひとがた流し作者: 北村薫出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2006/07メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (104件) を見る

(306)
図書館で予約していたのがやっと回ってきました。
以前本プロでも皆さんのUPが続いていて興味があったこの本。
なんとなく悲しい話なんだろうなと思っていましたが、それだけではなく女性同士の固い友情や、夫婦や親子の関係、病気など色々考えさせられる物語でした。

3人の女性は千波、牧子、美々。
皆40代。人生の色々な経験を重ねてきています。
千波はアナウンサーで独身、牧子は離婚して娘と二人暮し、美々は離婚後写真家と再婚、娘一人・・・と全く違った暮らしですがいい関係はずっと続いています。

章ごとに語り手の登場人物が変わり、物語が進んでいくので毎回新鮮な気持ちで楽しめました。
牧子の娘さきや美々の娘玲の視点で語られるのもよかったです。

千波はやっと良秋にめぐり合えて(再会できて)幸せだったでしょうね。
良秋も包容力のあるしっかりした男性で本当によかった。
でも、だからこそ悲しかった・・・
病状が重くなり、辛い結末が待っているのが予想できてしまい、先は知りたくてもページをめくりたくないという複雑な気持ちになりました。

悲しい知らせを聞いた牧子が、千波と変電所に行った子どもの頃を思い出す場面が一番辛かったです。

付記に「《涙》という言葉も使うまいと思った」とあり、読み終わった後、思わず確認してしまいました。
読んでいて最後の方はボロボロ涙が出たのに、文章には涙という言葉が使われていないんですよね。これは驚きでした。
安易に《涙》という言葉を使わないということ。
作家として素敵だなと思いました。

「人が生きていく時、力になるのは何かっていうと、ー《自分が生きてることを、切実に願う誰かが、いるかどうか》だと思うんだ。〜」

自分のことを切実に願ってくれる誰かがいることは大切だと思います。
普段は気づかなくても、苦しい時は特にその存在が大きな力になるんですよね。
私もそういう人がいて欲しいし、少しでも誰かの力になれる自分でありたいと思いました。

                                                                                                                                                              • -

butti > トントンさん、ご無沙汰してます(^^ゞわたしもこの本、つい先日図書館から借りてきました。「あ!北村さんだ!」と思って借りてきたので、内容等を全く知らないのですが、色々深そうですね。心して読みます。 (2007/04/13 16:55)
トントン > buttiさん、お久しぶりです!コメントくださってうれしいです^^ちょうどこの本借りたところなんですね。先入観なしの方がきっと楽しめると思いますよ。buttiさんの感想、待ってますね♪ (2007/04/14 05:57)
ほっそ > こんにちは。私もこの本読みましたけど、良秋の直球にドキドキしました。千秋は、男性からこんなストレートな愛情表現を受けたことないのかなあ〜〜と想像してしまいました。話はそれますが、藤原紀香もそうだったのかなあ〜〜〜と(*^_^*) (2007/04/14 11:00)
トントン > ほっそさん、おはようございます♪私もほっそさんと同じく良秋のストレートさにはちょっとドキドキしちゃいました。突然の登場といい、まさに王子様みたいな男性でしたね。ふふ、藤原紀香もそうだったのかもしれませんね。 (2007/04/16 07:25)