はぴの本棚

2003年からの読書日記

(創元推理文庫)" title="聖なる島々へ (創元推理文庫)">聖なる島々へ (創元推理文庫)作者: ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,田村美佐子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2004/10/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (20件) を見る

(297)
デイルマーク王国史2です。
今回の主人公は南部の貧しい少年ミット。
幼い頃から父親と同じ革命組織に加わり、暴虐非道な領主ハッドを暗殺する計画の一端を担うことになります。
しかし計画は失敗、ミットは逃亡するはめになってしまいます。

同じ頃、ハッドの孫娘ヒルディは祖父が勝手に決めた聖なる島々の領主との婚約に怒り、弟のイネンと共に自分達の帆船<風の道号>で皆を驚かそうと思い船出しますが、ちょうどそこに隠れていたミットが現れて・・・

前巻でも感じたけれど、子ども達が逞しくてしっかりしている代わりに、どうも大人達(ネイヴィスやミットの両親など)が頼りなかったり、だらしない感じがしました。
ミットの両親の場合は貧しさが背景にあるんでしょうが・・・
ミットが母親を喜ばそうとして明るく振舞う場面(自由に心をはばたかせるミットのくだり)が何度も出てきて切なくなってしまいました。

最初はぶつかるばかりだったミットとヒルディ姉弟ですが、船上で共に暮らすうちに、少しずつお互いを理解しようとする気持ちが出てきます。
途中、漂流者(後で正体が分かり驚くのですが)を助けてからはより3人の絆が深まった感じさえしました。
身分があまりにも大きく違うのでなかなか難しいんですが、(貧困の悩みはもちろん、豊かな暮らしでもまた違った悩みがあるので)お互いを思いやる場面もあったりして温かい気持ちになりました。

海祭りの言い伝えと聖なる島々に宿る不思議な力の部分もとても興味深く読めました。
嵐と遭遇してそれを切り抜ける場面は特に面白かったです。

そしてほんの少し前巻とリンクしていたのも得した気分になれました。
次も楽しみに読めそうです。

                                                                                                                                                              • -

ときわ姫 > ミットの母親のだらしなさ、それなのに母親のことを何とかしたいミットをみてると、私も本当に切なかったです。いろんなことがリアルで、重かったけれど感動しました。 (2007/01/30 17:03)
すもも > 「詩人たちの旅」で止まったままです。腰をすえてじっくり読みたいと思ったら、なかなか手が出せなくて。トントンさんの書評に心が揺らぎます(笑) (2007/01/30 17:13)
北原杏子 > トントンさんの感想を読んで、また読んだ時の感動がよみがえる感じでした。ミットはほんとけなげに頑張ってて、切なかったですね。 (2007/01/30 21:56)
トントン > ときわ姫さん、前巻の母親もどうかと思いましたが(笑)ミットの母親もだらしないところがありましたよね。それなのにミットがけなげなので余計切なくなりました。ジョーンズさんの作品はファンタジーなのに本当にリアルですよね。感動しました。
>すももさんは『詩人たちの旅』を読まれてるんですね。リンクする部分はあるけれどこの2巻は海が主な舞台ということもあって全然違う雰囲気でしたよ。また腰をすえて読める時にぜひ挑戦してみてくださいね。
>北原杏子さんもこのシリーズ高評価でしたよね。「感動がよみがえる感じ」なんてすごくうれしいです^^ミットはほんとうにけなげでしたね。それなのにほとんど報われないのがかわいそうでした。まだシリーズ半分ですが、読み終わったらまた再読したくなりそうです。 (2007/01/31 15:22)