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2003年からの読書日記

死ぬときはひとりぼっち作者: レイ・ブラッドベリ,小笠原豊樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/09/25メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (14件) を見る

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これがハードボイルド三部作の第1作目とのこと。
今回一気に3冊借りてきました。

ハードボイルド小説というのはよく聞くけれど、読み慣れないジャンルなのでいまいちピンとこなかった私。
ちょっと調べてみたら「感情を抑えて行動する主人公が登場する、探偵小説の一ジャンル」とのことでした。

どんな感じなのかなと思いつつ読み始めましたが、さすがブラッドベリ作品!
幻想的で独特な持ち味はそのままに見事ハードボイルド小説になってました。

探偵小説家である「私」が住んでいるのは寂れた海辺の町ヴェニス
雨の深夜、路面電車に揺られているところから物語が始まります。
酔っ払った男に背後から声を掛けられた私は、かかわりあうことを避けて振り返らずにやりすごそうとしますが、男は側まで近づいてきて「死ぬときは・・・・・・ひとりぼっちだ」と叫んだ後そのまま電車を降りてしまいます。
私は結局その男の姿を確認できないまま、もやもやした気持ちで酒場に寄り、その帰りに死体を発見したのをきっかけに次々と私の周辺で事件が起こり始めます。

主人公の謎解きを助ける重要な役割をしている登場人物も独特。
小説を書いている刑事、世界最低の理髪師、元オペラ歌手で巨漢の女性、今はひっそり暮らしているかつての大女優、同性愛者の老俳優・・・ブラッドベリならではといった感じ。

電車で叫んだ謎の男は誰だったのか?殺人事件の犯人は?
けっこう淡々と物語は進むのですが、不安感(と表現すればいいのかな)みたいなものはずっと続いていて、緊張感は保ったまま読みすすめていきました。
謎が解けるラスト付近ではドキドキする場面もあり堪能しました。

私はなぜかブラッドベリ作品に入り込むのに他の本よりすごく時間がかかります。
翻訳小説が少し苦手なところももちろんありますが、それ以外の理由としてブラッドベリ独特の雰囲気を持った文章、なんともいえない叙情性、登場人物の一種の奇抜さにあるのかなと思うようになりました。
慣れてくると読むスピードも早くなり、どんどん頭に入るのですが・・・

続いてあと2作、読みたいと思います。

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青子 > トントンさん、エキセントリックな登場人物がとてもブラッドベリ的ですね。そのウソっぽいところが私は大好きです。犯人の謎解きの部分は?と思うのですが、そんなことは置いといても、ブラッドベリの世界にたっぷり浸れたので大満足です。
3冊一緒に借りれたなんていいですね。私はまだ2冊目を読んでいないので、トントンさんの感想楽しみに待っていますね。 (2006/12/04 20:29)
トントン > 青子さん、ウソっぽいところ私もけっこう好きだったりします。ブラッドベリの世界って独特だけどたまに浸りたくなるんですよね〜2冊目は最初全然この巻と関係ないのかなと思っていたんですが、半分くらいになってだんだんつながりが見えてきたところです。面白さも増してきました^^ (2006/12/06 15:52)
チズ > トントンさん、ブラッドベリってハードボイルド書くんですね。知らなかったー…というより、ブラッドベリ自体、読んでいないんですが…。ブラッドベリというと「たんぽぽのお酒」。たしか、新井素子さんか誰かが「たんぽぽのお酒」のことを書いているのを見て、はじめて知りました。(おいしそうな名前…。)
今、トントンさんの「たんぽぽのお酒」の書評、拝見してきました。魅力的な人々がでてくるんですね。 (2006/12/08 14:17)
トントン > チズさん、おはようございます♪私も本プロでブラッドベリのことを知って少しずつ読んでいるんですよ。たしか『たんぽぽのお酒』が初ブラッドベリでした。ふふ、タイトル美味しそうですよね。書評も読んでくださってうれしいです^^これまで読んだどの作品でも、登場人物は一風変わった人が多くてとても面白いです。そしてとても魅力的ですよ。そうそう、ハードボイルドは珍しいみたいですね。 (2006/12/11 07:06)
すもも > レイ・ブラッドベリは読んだことがありませんが、彼の作品に影響を受けたという作家さんは多いとききます。来年はぜひ、「独特の雰囲気」「叙情性」「奇抜な登場人物」に、挑戦してみたいです。 (2006/12/11 10:07)
トントン > すももさん、おはようございます♪
ブラッドベリに影響を受けた作家さんは多いとききます。
私もブラッドベリの作品を読む前に既にあちこちで聞いたことがあったので、影響力大なんですね!初めて読んだ時は独特の雰囲気に驚くかもしれませんが、慣れるとハマるかもしれません^^すももさんもぜひ来年挑戦してみてくださいね。 (2006/12/12 07:25)