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2003年からの読書日記

アーサー王物語伝説 魔術師マーリンの夢作者: ピーターディキンスン,Peter Dickinson,山本史郎出版社/メーカー: 原書房発売日: 2000/07/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見る

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ピーターディッキンソン(ディキンスン?)作品2冊目。
アーサー王物語伝説はちらっと聞いたくらいだし、その中に登場する魔術師マーリンも軽く耳にした程度。
でも、そんな私でも十分楽しめる物語でした。

訳者あとがきから抜粋して簡単に説明させてもらうと、「マーリンというのは、悪魔と人間の間に生まれたとされる伝説の魔法使い、予言者」だそうで、「アーサー王伝説では中心的役割を果たす人物の一人である」とのこと。

彼が、「冒頭に引用されているマロリーの『アーサー王の死』でのべられているように、ある時、ニムエという美しい女に身も夜もなく恋して自分の魔法を教えた結果、最後には逆にニムエの呪文によって荒野の大岩の下に葬られてしまった」という部分から著者独自の物語が語られます。

大岩の下のマーリンは死んでいるわけではなく、眠りから時々覚めるというのも興味深いです。
再び眠りに沈み込む時に見る夢が各章の物語になっているんですが、それぞれが幻想的でなんともいえない魅力があります。
一つずつをもっと長編で読んでいたいと思わされるほどでした。

どれも面白かったけれど特に印象に残ったのが「乙女」
犬と人間が入れ替わる場面がとてもリアルでまさに犬の感覚で世界を見るという感じがしました。

そしてアラン・リーさんの挿絵も素晴らしくてうっとり。
物語が一層際立っていたように思いました。
美しくて幻想的で、絵だけでも一見の価値ありです。

ピーター・ディッキンソンさん、ますます気になってきました。