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2003年からの読書日記

弥勒の月 (文芸)作者: あさのあつこ出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/02/22メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (30件) を見る

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あさのあつこ作品。
時代小説を読んだ数はそう多くない私ですが、初めての時代小説とは思えないくらいこなれている印象。
最後への盛り上がりも十分で面白さもあり、本当にうまい!
途中からは夢中になって読みました。

小間物問屋遠野屋の若おかみおりんが川に身投げします。
妻の死んだ理由が知りたいと依頼してきた遠野屋の主人。
彼は二代目として店を引っ張ってきた才覚のある人物ですが、それだけではないらしい・・・

おりんの死から相次いで人が亡くなる事件が続き、謎が深まっていきます。
遠野屋の正体、過去は?おりんの死の理由は?
そして真犯人はいったい誰なのか?
同心の信次郎と共に事件解決に乗り出す岡っ引き伊佐治の視点から主に物語が語られます。

テンポよく物語が進み、とても面白かったんですが、信次郎の人物像が最後までつかみきれなかったのが残念。
切れ者なんだけど、時に冷たい部分や残酷な部分も見え隠れする人物で、深みがあるといえばそうなんだけど、やや中途半端な感じ。
本当はどんな人なんだろう?と思うまま終わってしまいました。

「〜人の心の内は、見ようとしても見えぬ分の方が多いものだ」
ある人物が発した言葉です。
なぜか気になったのでしおりをはさんでいたのですが、最後まで読んであらためて物語に大きくかかわってくる部分だったと気づきました。
そしておりんの死の理由も切なくて・・・

ラストがまだ続くような感じだったので続編もあるのかな?
すっきりした終わり方ではなかったので、ぜひ続きを読んでみたいと思いました。

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すもも > わたしは、あさのあつこさんのファンですが、時代小説という新たな分野にも大いに期待しています。続編出て欲しいですね。最後までわからなかったのは、信次郎がどうして遠野屋の主人にあそこまで執着したのかでした。 (2006/11/01 09:40)
トントン > すももさん、こんにちは♪私はこれが初あさの作品だったんですが、とても楽しめました。時代小説もっと書いて欲しいですね!そして信次郎が遠野屋の主人に執着した理由・・・自分以上に腕の立つ武士で謎めいた存在だったからかなと思って一応納得したんですが、それだけでは弱いですよね。あそこまで執着するもんですかね〜 (2006/11/02 14:34)
EKKO > こんにちは。あさのあつこさんは、「バッテリー」しか知らないのですが、時代小説も書かれるんですね〜トントンさんの評価も高そうですし、是非読んでみたいと思いました。 (2006/11/03 13:00)
トントン > EKKOさん、こんにちは♪初の時代小説らしいですよ。なかなか面白かったです!私は初めて読んだあさの作品がこれだったので、これから『バッテリー』や他の本も読んでみたいと思います。 (2006/11/03 15:12)