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2003年からの読書日記

もののはずみ作者: 堀江敏幸出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/07/30メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 18回この商品を含むブログ (48件) を見る

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主にフランスで出会った「もの」についてのエッセイ。
各2〜3ページで堀江さんのところにやってくることになった「もの」が紹介されています。
堀江さんが気になるのは「ほんのちょっとむかしの」もので、ビー玉、ボタン、ヨーヨー、腕時計などありふれたものもからドアノブ(洋服掛けになってるのがおかしい)、木靴、
M・T氏が使っていた手帖、バスの「つぎ、降ります」表示まで・・・
いいなあと思うものもあったけれど、こんなもの必要なのかな?と思うものがけっこうあって、面白かったです。
でも堀江さんの文章にかかると、それらがとても素敵なものに思えてしまう。
主にフランスの「もの」たちで洒落ているのもあるんだろうけれど、エッセイなのに小説を読んでいる気分がしました。

懐かしかったのはパタパタ時計!
そういえば以前はあったのに最近ほとんど見ないかも。
堀江さんの言っていること、とてもよく分かります。
「ああ、十九時五十九分の、このうえない緊張。
二十時ちょうどへの変わり身にともなうあの音とめまぐるしい文字盤の動きの、なんと魅力的なことだったろう。」
文字盤が大きく入れ替わる時なぜかうれしくてドキドキしたのを覚えています。

今生活を共にしている「もの」たちもあと数十年すれば新しいものにとって変わるんでしょうね。
そうなると当時を思い出して集めたくなってしまうのも分かるような気がします。

役立たせようとするのが目的ではなくて、偶然の重なりで自分のところへはるばるやってきた物だからこそ愛しく思う・・・

>「物」じたいより、背後にあるさまざまな「物」を語ることのほうを、物語のほうを大切にしているのかもしれないのである。

とても素敵だなと思いました。

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ミワ > 「物」語、についての考え方、さすが堀江さんだなあと思って読みました。わたしはとてもあんなに自分の持っている「物」について語れないですもん。
偶然の重なりで自分のところへやってきたもの・・・。何があるかなと思わず考えてしまいました。 (2006/10/08 10:11)
澪 > トントンさんこんにちは。お久しぶりです。ここ一ヶ月、介護の仕事も始まったこともあって、しばらくネット離れしていました。「もののはずみ」はいつか読んでみたいと思っていましたがトントンさんの感想文を読んで、一層期待が高まります。魅力的な人がいいオーラをたたえているようにもいい“気”みたいなものが漂っているような物ってありますね。世の中にはたくさんの物があふれているけれど、魂が欲しているという意味での必要な物ってそう多くはないのだと思います。そういう心が喜ぶものに、数少なく囲まれて生きいきたいなあと思っています。 (2006/10/09 10:51)
トントン > ミワさん、おはようございます♪さすが堀江さんですよね!一見がらくたにも見えるのにちゃんと一つひとつ「物」語りがあって・・・エッセイなのに時々小説を読んでいる気分でした。
>澪さん、お久しぶりです。お仕事で忙しい日々を過ごされてたんですね。このエッセイは一つずつが短いので忙しい方でも読みやすいと思いますよ。気やオーラのようなものが漂っているものって(特に古いもので)ありますよね!
ついつい物が増えてしまう私ですが「魂が欲しているという意味での必要なもの」「心が喜ぶもの」っていいですよね。澪さんの言葉のあちこちにすごく共感してしまいました。
(2006/10/10 07:47)