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2003年からの読書日記

がんばらない作者: 鎌田實出版社/メーカー: 集英社発売日: 2000/09/26メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る

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母から借りました。
地域医療のモデル病院の一つとされ注目されている長野県諏訪中央病院の院長鎌田實さんが書かれた本です。
病院の院長が書いたものというと堅苦しいイメージがしますが、この本はそんな感じが全然しないのが驚きでした。
患者さんのエピソードは病気が治る体験記ではなくて、亡くなるまでの話というのも興味深かったです。

以前つぶれかけていた諏訪中央病院が立ち直った話もなるほどと思ったし、時に微笑んでしまうような患者さんのエピソードもよかったです。


諏訪中央病院のパネルには、市民へのメッセージや患者の権利がうたわれていて、

人格を尊重される権利
平等な医療を受ける権利
最善の医療を受ける権利
知る権利
プライバシーの権利
自己決定の権利

最後の自己決定の権利には説明があり、
「患者さんは、充分な情報と医療従事者の誠意ある説明、助言、協力を得た上で自ら選択し、あるいは拒否する権利を有します」

この自己決定の権利を特に大切にしたいと思っているそう。

「自分の命のあり方を自分で決めていくこと」言葉で言うほど簡単ではないけれど、これはとても大事なことではないかなと感じました。

自分で決めるためには自分の体をちゃんと知っておかなくてはいけない。
だから告知も隠すことなく正直にするという鎌田さんはじめ病院の姿勢も読んでいてよく分かりました。

医者と看護婦と患者、それを支える家族、地域の人達、どれも必要だし、どれが欠けても困るんですよね。
医療の技術はどんどん進歩しているけれど、治せない病気はやっぱり多いし、人間には皆寿命がある・・・
満足して生きたいし、死に向かいたい。
やっぱり最後は人の真心なのかなと思いました。

タイトルの「がんばらない」は患者さんの書いた作品からつけたそう。
「頑張ろう」「頑張れ」という言葉は普段よく使うけれど、人によっては時に重荷になってしまうと私も聞いたことがありました。

医療スタッフはがんばるけれど、患者はありのままでいてください、そういう気持ちをこの「がんばらない」という書に託したいという鎌田さんの言葉も素敵でした。

出版年は2000年ですが、今読んでも諏訪中央病院は素敵だと思うので、こういう病院ってまだまだ少なくて珍しいんでしょうね。
自分の身近な病院や全国の病院も当たり前のように、患者に優しい病院になって欲しいと思いました。

続編も出ているそうなのでまた母に借りたいです。

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れんれん > 今晩は、トントンさん。鎌田さんこの間「世界一受けたい授業」(タイトルこれでよかったかな?)に出演されて、拝見しました。お話に涙してしまいました。以前山崎医師が書かれた「病院で死ぬということ」を読み、同じように感動しましたが、本当に医の心を持ったお医者様、もっともっといて欲しいですね。 (2006/05/29 21:13)
トントン > れんれんさん、こちらにもありがとうございます。「世界一受けたい授業」に出演されてたんですね。あ〜見たかったです。「病院で死ぬということ」という本、たしか母が持っていたような覚えがあるのでまた読んでみたいです。本当に、これからはもっともっと医の心を持ったお医者様が必要な時代になってきそうですね。 (2006/05/30 23:42)