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2003年からの読書日記

夜市作者: 恒川光太郎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/10/26メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 96回この商品を含むブログ (203件) を見る

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著者は「夜市」で第12回日本ホラー小説大賞を受賞。
本書がデビュー作だそうです。

ホラーは苦手なのでほとんど読まないのですが、あしかさんの感想で興味を持ち予約していました。
本プロでも皆さんけっこう評価が高かったような・・・

これ、私にはホラーというよりファンタジーっぽい感じがしました。
たしかに不気味な部分もあるんですが、幻想的な方が勝ってるのかな?想像以上に好みの雰囲気でびっくり。
「夜市」も「風の古道」もどちらもよかったのですが、「風の古道」のレン、ホシカワなど登場人物がより魅力的でぐんぐんひかれるように読みました。
結末も決して明るいものではないけれど、よかったと思います。

選評で荒俣宏さんが書かれていましたが、絵が浮かんでくるというのはその通りだと思いました。
読んでいて自然と頭の中に映像が流れているようでした。
アニメになっても面白そう。

恒川さんはホラージャンルで書き続けるんでしょうか?
幻想的なこの雰囲気は好きなので、次作はもう少し長い物語を読んでみたいです。

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れんれん > ホラーは私も苦手でいつも敬遠しているのですが、これはその必要がなさそうですね。興味が湧いてきました。でもそうするとまたあの二択の苦しみが・・・(笑) (2006/05/29 21:18)
トントン > れんれんさんもホラー苦手ですか!この本はちょっと不気味な箇所もあるんですが、幻想的な雰囲気が勝っていてホラー小説まではいかない感じでした。怖がりの私でも大丈夫だったのできっとれんれんさんもOKだと思いますよ。でもそうなんですよね・・・二択の苦しみが(笑)うまくバランスをとる読書ができればいいんですが、難しいですね。 (2006/05/30 23:39)


[★★★][レイ・ブラッドベリ]

塵よりよみがえり

塵よりよみがえり

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ブラッドベリの小説はなぜか読み始めてなじむまでに時間がかかる私。
理由はうまく説明できないけれど、独特の言い回し(語り口調?)のせいなのかな?
翻訳のせいかとも思いましたが他の作品もきっとこんな感じの気がするので、やっぱりブラッドベリの書く文章のリズムや言葉の重なりのせいなんでしょうね。
慣れるとそれがブラッドベリ的でなんともいえず楽しいんですが・・・
今回も入り込むまでには時間がかかってしまいました。

魔力を持った一族が身を隠している一軒の古い屋敷。
そこには<ひいが千回つくおばあちゃん>や眠りながら心を飛ばすことのできる魔女セシー、屋敷の玄関に置き去りにされていた人間の男の子ティモシーも暮らしていました。

ローウィンに合わせて一族が各地から集まってきます。
大きな緑の翼を持ったアイナーおじさん、4人のいとこ、逆さまな一生を送る美しい乙女アンジェリーナ・マーガレット・・・
一族たちの運命も時代を経るうち次第に大きく変わっていきます。

限りある命のティモシーは最初は皆みたいに生き続けたいと願っていましたが、少しずつ気持ちが変化していくのが興味深いです。

おばあちゃんはティモシーに語る言葉も素敵。
「〜ティモシー、その新しい叡智のなかでおまえの命を精一杯に生き、あらゆる瞬間を楽しんで、これから何年も先に、身を横たえることだ、自分が人生のあらゆる瞬間、あらゆる時間、あらゆる年を満たしてきたこと、一族にこよなく愛されたことをさとって幸福な気分にひたることだ。〜」

「不老長寿」「永遠の命」と聞くと、響きは美しくきれいで、やっぱりうらやましいと思ってしまう私ですが、おばあちゃんが言うように<時>は積み重なっていくと、生身の人間には記憶でも精神的にも支えきれないほどの重荷なのかもしれません。
限りある命だからこそ、その中で私たちは懸命に生きようとするのだろうし、それが素晴らしいのかもしれないと思いました。

うまく感想がまとまらないのがもどかしいのですが、ブラッドベリの小説を読むといつも生と死について漠然と考えている自分がいます。
楽しく読んでいてもフッと我に返る瞬間があるというか・・・

頭がクリアな時に少しずつ未読作品を読み進めていきたいと思いました。

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ぱせり > トントンさん、読まれたんですね♪ 独特な言い回し、ですよね。原文、どうなんでしょう。持ってまわったような文章って私は結構好きなんですけど、それでも、これはなじむまで時間がかかりました。ここまで凝らなくても…もうちょっとすっきりと言ってくれないものなのか…と、やはり思いました。永遠の命、不老不死、私もやっぱりうらやましいです。だけど、「じゃ、あげる」と言われたら、うーん、ほんとに欲しいかなあ…と返って尻込みしてしまいそうな気がします。自分がそうじゃないから、どこか安心して羨ましがって、この一族を「ちょっといいなあ♪」と思いつつ眺めていられるのかも、と今思いました。 (2006/05/23 07:56)
トントン > ぱせりさん、こんにちは♪読むとすぐブラッドベリだと分かる言い回しありますよね!そうそう、もうちょっとすっきりでもいいような(笑)私も久しぶりに読んだのでなじむまでに時間がかかりました。永遠の命、不老不死ってうらやましいけど、いざもらえるとなるとどうなんでしょうね?ぱせりさんがおっしゃるように尻込みしてしまいそうです。やっぱり少し離れたところから眺めてうらやましがる位がちょうどいいのかなあと思いました。 (2006/05/23 13:50)