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2003年からの読書日記

熊の敷石作者: 堀江敏幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/02/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 49回この商品を含むブログ (48件) を見る

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堀江敏幸さんはこの『熊の敷石』で第124回芥川賞を受賞したそうです。
本には表題作と「砂売りが通る」「城址にて」が収められています。

どれもよかったのですが、「熊の敷石」が一番印象に残りました。
主人公はなんとなく堀江さんをイメージしてしまう翻訳をしている男性。
彼の奇妙な夢の場面から始まり、いつの間にか物語に惹きこまれていました。
「熊の敷石」ってなんだろう?と分からないまま読み進めていくうちに謎が解けます。
これフランスの訓話(教訓)だったんですね。
でもこの訓話、かなり突拍子もなくて驚きました。
国によって色々ことわざや訓話、教訓話はありますが面白いなと思いました。

友人のヤンの下宿の管理人カトリーヌの息子のダヴィッドの話も印象的でした。
カトリーヌが手作りのぬいぐるみの熊にしたこと。
彼女がどんな思いでそうしたのか、想像するだけでいたたまれない気持ちになりました。

『雪沼とその周辺』の方が読みやすい感じがしましたが、共通して言えるのは常に静かな雰囲気が漂っていること。
フランス文学を専攻されていた堀江さんだからか、どの作品もフランスが登場します。
少し難解な文章や私には読めない漢字もちらほら・・・
でも異国の雰囲気や静かな気配、落ち着いた地味な感じ、いいです。
堀江さんの本はまだ2作目だけど、けっこう好きかもしれません。
ゆっくりじっくり読破していきたいと思っています。



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ミワ > こんばんは★主人公に堀江さんが重なるの、すご〜くよく分かります!どの作品もそんな感じですよね。
たいぶ前に読んだので忘れてしまっているところが多いのですが、崖のようなところでヤンとカマンベール投げの話をしたりするところや、ダヴィッドのくまのぬいぐるみの目のばってんのことなど、思い出しました。
『雪沼〜』と比べると確かに少し読みにくいですよね。でもやっぱり好きなんですよね(笑)。 (2005/05/27 21:03)
トントン > ミワさん、おはようございます。どの作品も主人公に堀江さんが重なる感じなんですね!私は最初の夢のところと同じくダヴィッドのぬいぐるみが印象に残っています。堀江ワールドすごく気に入りました!次はどれを読もうかと考えているところです♪ (2005/05/28 09:18)