はぴの本棚

2003年からの読書日記

ぶらんこ乗り (新潮文庫)作者: いしいしんじ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/07/28メディア: 文庫購入: 20人 クリック: 600回この商品を含むブログ (251件) を見る

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いしいしんじさんの本は2冊目ですが、またもや不思議で独特な世界にはまってしまいました。
どう感想を書いていいか悩んでしまいます。
童話のような、でもちょっと違う感じ。
物悲しくて優しい、胸がきゅんとしてしまう物語でした。

ぶらんこが上手でつくり話が得意な弟、ある事故をきっかけに声を失ってしまいますが動物の声が聞けるようになります。
弟が動物から聞いた不思議なおはなしがノートにたくさん綴られています。

象のローリングの話やユーカリ中毒のコアラの話、ペンギンの話やサーカスの話など・・・印象深いものばかり。
本当かな?と思うようなものがいっぱいでした。

動物の話が聞けるって素敵なことだと思っていたけれど、読みながら弟の孤独さが伝わってきてなんだか寂しい感じがしました。
読んで楽しんでくれる姉の存在がいたからこそお話をこんなにたくさん書き綴っていったのでしょうか?

途中で飼われることになった犬もいい味を出してます。
名前が指の音というのも絶妙でした。

後半またもや悲しいことが起こり涙が出そうになりました。
壊れてしまいそうな姉のために弟がしたこととは?優しい気持ちが痛いくらいでした。

いしいしんじさんの小説は読む人によって好みが分かれそうだけれど、今回の物語はとても好きでした!



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peep > トントンさんこんにちは。いしいさんのお話はまさに大人の童話ですよね、小憎らしいくらい心の柔らかい部分がつつかれまくりです、しかも読後暫く経っても物語を思い出すだけでキュンと苦しくなってしまうって、もはやいしいさんは作家と言うより魔術師なのでは・・・、と思ってしまいます(笑) (2005/03/15 14:36)
ぱせり > こんにちは。いしいしんじさん、いつか読んでみたいと思っています。一番最初はやはり、この「ぶらんこ乗り」にしようと思います。 (2005/03/15 16:29)
青子 > トントンさんも高評価で嬉しいです。peepさんのおっしゃるとおりホント魔術師みたいですね。なんともいえないせつなさとやさしさと強さにあふれている物語ですね。読むたびに深みにどっぷりとはまっていきます。私も大好きです。 (2005/03/15 22:15)
すもも > いしいしんじさんは、まだ読んだことがないのですが、トントンさんの「不思議で独特な世界」「童話のような、でもちょっとちがう」という感想に惹かれました。図書館に予約しようと思います。 (2005/03/16 16:11)
トントン > peepさん、こんにちは。分かります!心のやわらかい部分がつつかれまくりでしたよ〜独特な雰囲気の話なんだけど不思議とひき寄せられてしまいました。いしいさんって本当に魔術師みたいですね。
ぱせりさん、私はこれがまだ2冊目なんですがとてもよかったですよ!ぜひ読んでみてくださいね♪感想楽しみに待ってます。
青子さん、これはとても好きな話でした!切なさがかなり胸に迫りましたがラストよかったですね。青子さん同様何度も読み返したい話になりそうです。
すももさん、いしいさんの物語は本当に独特で好みが分かれると思うんですが童話やファンタジーが好きな方はきっと気に入るんじゃないかと想像してます。すももさんの感想楽しみにしてますね♪ (2005/03/17 13:22)


[★★★★]

春になったら莓を摘みに

春になったら莓を摘みに

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梨木香歩さんのエッセイです。
小説は何冊か読んでいたのですが、エッセイは初めて。
小説とはまた違った雰囲気で楽しめました。

静かな語り口なんだけれど、深いです。
読んでいて考えさせられることがたくさんありました。

梨木さんは若い頃、英国のウエスト夫人の下宿で暮らしていた経験があり、今回英国に短期で滞在することになって再会を果たします。
学生時代の回想も織り交ぜながら人種問題、戦争のことをはじめ、イギリスでの暮らしの中で出会った人達との触れ合いで感じたこと等が綴られています。

梨木さんはしっかりした考えや意見を持っているのがあちこちで感じられました。
小説で時折感じる異国の雰囲気は英国経験の影響が大きいのかなと思いました。
エスト夫人のあたたかい人柄もとってもいいです。


印象に残った文章

理解はできないが受け容れる。ということを、観念上のものだけにしない、ということ。
→ウエスト夫人について述べたところ

分かり合えない、っていうのは案外大事なことかもしれないねえ。
→ジョンの言葉


小説家のエッセイは時にがっかりすることもあるけれど(小説が素敵でもエッセイではう〜ん・・・と思うことがあるので)梨木さんのエッセイはとても上質な感じがしました。
書き留めておきたい文章があちこちにあって手もとにおいておきたいほどでした。


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nanao > これは未読ですが、やはりそうだったのかとトントンさんの記事を読んで思いました。私も英国の経験は世界的視野に立って、物語を書く力を身に付けたのでしょうね。
身近なことから世界へ、これが彼女の醍醐味ではないかと思っています。 (2005/03/18 06:39)
ぱせり > こんにちは。
エスト夫人の人柄、すばらしいですよね。と、こういうふうに感じさせてくれるのは、梨木さん自身が素晴らしいからですよね。小説か、エッセイか、どちらか、という作家さんが多いですよね。梨木さんの小説がすてきなので、これはそんなに期待しないで読んだのですが、小説と同じくらい、ううん、別物として、この本は深くて、読み応えがありました。
手もとにおいておきたい、わかります。わたしも図書館で借りて、その後、買いました♪ (2005/03/18 08:33)
ミワ > この本ってたしか表紙もすごく素敵な写真のものでしたよね?梨木さん、今とても気になっている作家さんで、この本もエッセイだとは知りませんでしたが、トントンさんの感想を拝見してものすごく興味を持ちました。題名だけですでに素敵です。読まなきゃ〜! (2005/03/18 23:07)
トントン > nanaoさん、エッセイをあまり読まないん私ですが、梨木さんのは文章の持つ雰囲気がすごくいいなあと思わされるんです。「身近なことから世界へ」本当にそうだと思います。
ぱせりさん、ウエスト夫人って懐の大きい人ですよね。ぱせりさんのおっしゃるように梨木さん自身も素晴らしい人なんでしょうね。小説もエッセイも素敵な作家って多くないから私も期待せずに読んだのですが、当たり!って感じでうれしくなりました。私も買おうかな。
ミワさん、写真素敵ですよね♪題名ですが読んでても全然内容に入ってなかったのであれ?と思いましたが最後に「あ〜そういうことか」と分かります^^ミワさんも気に入るんじゃないかと勝手に想像してますよ。ぜひ読んでみてくださいね。 (2005/03/19 13:15)