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2003年からの読書日記

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『夏の庭』を読みたかったけれど見つからずこちらを先に読むことにしました。
先日読んだ『ささらさや』と同じく夫を失った妻の話が続いてびっくり。また違った感じで楽しめました。

主人公は7歳の千秋。
急に父が亡くなり母が虚ろになってしまいます。しばらく眠り続けたり、千秋を連れて電車を乗り継いであてもなく放浪したり・・・その電車ツアーで偶然ポプラ荘を見つけ暮らし始めます。

千秋も色々な不安に押しつぶされそうになっていて、転校で学校が変わったのもあり、緊張でガチガチになってるのが痛いほど伝わってきました。
忘れ物を気にして毎日全部の荷物を持って行かないと気がすまなくなったり、家の鍵を何度も確認しないと学校に行けなくなったり。
とうとう原因不明の熱が出てしまいます。
大家のおばあさんの部屋で世話になるうちに元気を取り戻していきますが・・・

最初の方は読んでいて痛々しく「この話、好きじゃないかも」と思っていました。
でも、死んだ人に手紙を届けるというおばあさんの話を千秋が信じて健気に手紙を書く場面がとても好きでした。
手紙を書くことで少しずつ千秋が癒されていく様子もよかったです。

死んだ人に届ける手紙って日記のようなものじゃないかなと思いました。
誰に見せるものでもないから自分の気持ちを素直に出せるし、もやもやしてた気持ちを吐き出すこともできる。
私も中学生の頃、毎日を過ごすのに必死で気持ちを吐き出す場として日記を書いていたことを思い出しました。
どちらかと言えば自分も千秋と同じく内にこもることが多いので余計共感できたのかなと思います。
また日記を再開しようかな。

ラストもちょっとどんでん返しがあってよかったです。
『夏の庭』だけ読んでこの本を読んでない人はぜひ読んで欲しいです。





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あさこ > まさに「夏の庭」だけ読んでこの本を読んでいないので、早く読みたいです。タイトルの「秋」の季節に読もうと思います! (2003/09/01 00:06)
EKKO > 私も秋になったら読もうと思って準備中です。私もよく日記書いてました。気持ちが落ち着くし、整理ができるし、いいですよね。今では字を書くこと自体がも少なくなってしまって・・・。PCに慣れてしまって手で書く日記は今はできないかも・・。 (2003/09/01 09:07)
さくら > 大人になった千秋が又おばあさんに癒されて「夏の庭」とは又違う温かさがありました。 (2003/09/01 09:35)
流歌 > これも最高に好きです!私の中では「夏の庭」と対になっている感じがします。おばあさんのさりげない優しさがとても素敵で…。周りの人たちも良かったです。これからの季節にとてもぴったりなので、本プロでブームにならないかな〜とちょっと期待してます(笑)。 (2003/09/01 18:29)
トントン > あさこさん、私は「夏の庭」がまだなんですよ。すごくよさそうなので読むのが楽しみです。
EKKOさん、日記書くって落ち着きますよね。また再開してみようかと思っています。
さくらさん、おばあさんのやさしさがなんともいえずよかったですね。あったかい話大好きです。
流歌さん、本プロでブームになったらうれしいですよね。湯本さんの作品は他に「春のオルガン」というのがあるみたいだけどこちらも気になっています。 (2003/09/01 19:34)
モネ > 皆さん、もう読んでいらっしゃるようで、先を越されてしまったみたいですね...(笑) (2003/09/05 20:59)
トントン > モネさんの「夏の庭」の日記のぞいて来ました!みなさん高評価ですね。もう秋だから来年にしようか・・・と迷っています。 (2003/09/06 19:20)