はぴの本棚

2003年からの読書日記

マチネの終わりに作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 毎日新聞出版発売日: 2016/04/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (23件) を見る

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。

以前読んだ著者の『空白を満たしなさい』も読み始めると一気でしたが、この作品もそうでした。

恋愛小説はなんとなく苦手で敬遠してきたけれど、とてもよかったです。
恋愛だけでなく、家族の関係、国や民族、心と体、仕事のことについてなど盛りだくさんの内容が含まれていて色々考えさせられました。

蒔野と洋子みたいに互いを深く思いやることのできる相手に出会えたら素敵でしょうね。
でも、運命のいたずらか何度もすれ違う場面があり、切なくて胸が苦しくなりました。
どうなるんだろう?と思いながら迎えた結末・・・とても素敵でした。

一方、三谷にも共感するところがあったりして複雑な気持ちにもなりました。
それぞれの登場人物たちの思いを想像しながら読んでいたように思います。


>「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

何度も出てくるこの文章がとても印象的でした。


読み終わったばかりなのに再読したいなと思えるお気に入りの小説になりました。
タイアップCDも発売されているとのことなので、再読はCDと共にじっくり味わって読みたいです。