はぴの本棚

2003年からの読書日記

マーチ家の父 もうひとつの若草物語作者: ジェラルディンブルックス,高山真由美出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2010/05/20メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (12件) を見る

妻と四人の娘を残し従軍牧師として北軍に加わったマーチは、激戦の合間に立ち寄ったヴァージニア州のとある農園を見て、以前ここに来たことがあるのに気づいた。20年前の春、若き行商人として訪れて長逗留したことがあり、それは美しく気高い奴隷女性グレイスとの出会いの時であり、また奴隷制度の残酷さを目の当たりにした日々でもあった。その後の歳月――マーミーとの結婚、哲人ソローやエマソンとの交流、逃亡奴隷の支援活動への加担、次々と生まれる娘たち・・・・懐かしい思い出がマーチの脳裏をよぎる。だが、そうした思いをよそに、国を二分する戦争は彼の理想や信念を打ち砕き、運命を大きく変えていくことになる!世界中で愛された古典を下敷きに、豊かな想像力と巧みなストーリーテリングアメリカの動乱の時代を生きる人々を描きあげた歴史フィクションの比類ない傑作。ピューリッツァー賞受賞作。


初ジェラルディン・ブルックス作品、堪能しました。
「もうひとつの若草物語」と副題にあるように不在の父親がその間どう過ごしていたかが描かれています。

南北戦争のことはあまり知らないのでちゃんと理解できないままさらっと読み飛ばしてしまった部分もありましたが、グレイスがとても魅力的で冒頭から一気に引き込まれました。

黒人と白人、真の平等とは?夫婦について、人の心を荒廃させ人生を大きく変えてしまう戦争の空しさなど色々なことを感じました。

子どもの頃、何度も読んだ『若草物語』ですが、四姉妹の印象が大きくて父親のことは全く頭に残っていませんでした。
両親は立派な人というイメージがありましたが、本書ではマーチは理想主義でプライドが高くマーミーは激情型で人間らしく描かれていてびっくり。

マーチは家に戻れたけれどその後の夫婦関係も気になるし、家族はどう暮らしていくのだろう?ちょっと心配になってしまう結末でした。


若草物語』久々に再読してみようと思いました。