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2003年からの読書日記

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)作者: 高田郁出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2010/03/01メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 45回この商品を含むブログ (72件) を見る

みをつくし料理帖第3弾。

新たに登場する坂村堂のキャラクターがいいですね。
美味しそうに食べる姿って周りを幸せにしてくれると思います。


今回は芳の息子で行方知れずの佐兵衛と以前共に働いていたという富三が登場。
包丁の扱いを見て違和感を感じた澪はさすがだと思いました。


野江との一瞬の再会はよかったけれどとても切なかった・・・
二人の想いが伝わってきてうるうるしてしまいました。



>どれほど不安に押し潰されそうになろうと、料理に向かう時は、胸に陽だまりを抱いていようと思う。美味しいものを作って、食べるひとに喜んでもらいたい、と願う。


この文章がとても好きです。
澪の場合は料理だけれど、読者はこの部分を別の言葉になぞらえることもできる気がします。
自分の強み、好きなことがちゃんと分かっているからこそ辛く苦しいいことがあっても頑張れるんでしょうね。



りうさんの言葉も心に響きました。


>天賦の才など与えられず、名を残すこともない数多の料理人たち。包丁で天下を取る、という欲もなく、ただひたすらに誰かに喜んでもらえる美味しい料理を、と研鑽を重ねた料理人たち。そうした料理人たちの恩恵の上に今の料理の形があるのだ、とりうは言う。


>「どんな時にも乱れない包丁捌きと味付けで、美味しい料理を提供し続ける。天賦の才はなくとも、そうした努力を続ける料理人こそが、真の料理人だとあたしゃ思いますよ」





澪の料理帖は「梅土佐豆腐」「ふっくら鱧の葛叩き」「ふわり菊花雪」「こんがり焼き柿」



謎の人物小松原の正体がついに判明・・・澪の恋がこの先どうなっていくのか気になるところです。