はぴの本棚

2003年からの読書日記

花散らしの雨 みをつくし料理帖作者: 高田郁出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2009/10/15メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 60回この商品を含むブログ (94件) を見る


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みをつくし料理帖シリーズ第2弾。
今回から簡単に地図がついているのもよかったです。

切なく泣ける物語が多かったように思いました。


付け火で焼失し、屋台見世を経て元飯田町に移転したつる家。
ふきという少女が下足番としてつる家で働き始めます。
その頃から澪の創作した料理と全く同じものが続けて先に登龍楼で供されるという事件が起き・・・

早くから気づいていた芳、問い詰めなかった澪、ふきに対するつる家の皆のまなざしがとても温かいのはさすが。


澪と野江の幼い頃やった狐のおまじない、麻疹にかかった太一とおりょうを献身的に看護する住人達の姿にも泣けました。



>親でなくても構わないのだ。血の繋がりが無くとも良い。幼子を見守り、愛情をかけてくれる存在があれば、きっと生きていける。


>「お銭出して料理を食べてくれはるひとに、下手な言い訳はしたらあかん。料理人の勝手な都合は、料理にも、ましてやお客さんにも全く関係のないことなんやで」


>「食べる、というのは本来は快いものなんですよ。快いから楽しい、だからこそ、食べて美味しいと思うし、身にも付くんです。それを『食べなきゃだめだ』と言われて、ましてや口に食べ物を押しつけられて、それで快いと、楽しいと思えますか?」


今回も印象に残る言葉がたくさん。


戯作者の清右衛門、相模屋の奉公人みりん売りの留吉、口入れ屋孝介の母りう、伊勢屋の娘美緒など新たな登場人物も個性豊かな面々で楽しませてもらいました。


澪の料理帖は「ほろにが蕗ご飯」「金柑の蜜煮」「なめらか葛饅頭」「忍び瓜」


種市の美味しい時の決め台詞「お澪坊、こいつぁいけねえ、いけねぇよぅ」もいいですね。
次はいつ飛び出すか楽しみになってきました。


みりんのしぼり粕がこぼれ梅と呼ばれるのは知っていたんですが、とても美しい日本語だと思いました。
おやつにもなるというこの一品、ぜひ一度食べてみたいです。