はぴの本棚

2003年からの読書日記

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12/11メディア: ペーパーバック購入: 6人 クリック: 304回この商品を含むブログ (134件) を見るミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12/11メディア: ペーパーバック購入: 5人 クリック: 58回この商品を含むブログ (107件) を見る

児玉清さんが絶賛していたので気になっていた作品。

面白かった!
全世界で800万部を突破し、本国のスウェーデンでは人口約900万人にもかかわらず290万部以上を売り上げる大ベストセラーというだけありました。



上巻のカバー紹介文からあらすじを・・・

月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。
だが、名誉棄損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることになる。
そんな彼の身元を大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが密かに調べていた。
背中にドラゴンのタトゥーを入れ、特異な風貌をした女性調査員リスベットの働きで、ヘンリックはミカエルが信頼に足る人物だと確信し、兄の孫娘ハリエットがおよそ40年前に失踪した事件の調査を彼に依頼する。
ハリエットはヘンリックの一族が住む孤島で忽然と姿を消していた。
ヘンリックは一族の誰かが殺したものと考えており、事件を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させる証拠資料を渡すという。
ミカエルは依頼を受諾し、困難な調査を開始する。



登場人物が40人以上、そのほぼ半数がヴァンゲル家の人物なので混乱しながらの読書になりました。
最初は一人ひとりを確認しながら読んでいる感じでしたが、慣れてくるとページをめくる手が止まらなくなってきました。


上巻ではリスベットが一方的にミカエルを知っているだけでまだ直接会う機会はなくそれぞれの物語が進行していましたが、下巻では二人が出会い一気に物語が盛り上がっていきます。
謎解きも面白く最後まで楽しめました。


コンピューターって便利だけれど、脆い部分も多いんですね。
自分の知らないうちに個人情報が流出してしまっている現実・・・怖いなと思いながら読みました。



女性の立場についても考えさせられました。


第一部の最初に書かれている一文。

スウェーデンでは女性の十八パーセントが男に脅迫された経験を持つ。


そして第二部の最初に書かれている一文。

スウェーデンでは女性の四十六パーセントが男性に暴力をふるわれた経験を持つ。



というように部ごとに書かれている文が読んでいくうちに内容に深くかかわっていることが分かってきます。



女性に対する偏見、軽蔑、暴力への著者の憤りが文章のあちこちで感じられました。
だからこそリスベットの活躍が輝くんでしょうね。
ビュルマン弁護士に復讐した場面、ミカエルを救う場面などはスカッとしました(笑)


リスベットはなんともいえずアンバランスな魅力があり、目が離せない感じがします。
主人公はミカエルなのかもしれませんが、彼よりはリスベットに強く惹きつけられました。


ある出来事を忘れないようにするため体に刻んでいくタトゥー・・・
「最悪の出来事」のしるしである背中のドラゴンのタトゥーについてはこの後明らかにされるんでしょうか?
2、3も図書館に予約しているのですが、回ってくるのにかなり時間がかかりそう。
楽しみに待ちたいと思います。



残念だったのは著者が執筆途中に50歳の若さで亡くなってしまったとのこと。
この作品がデビュー作で作家としてはこれからという時期だったのに・・・

訳者あとがきによれば三部作でとりあえずまとまっているようなので一安心ですが、その後も読んでみたかったです。