倚りかからず作者: 茨木のり子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1999/10/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 64回この商品を含むブログ (43件) を見る
1999年に出版された詩集です。
茨木のり子さんを知ったのはこの本のタイトルにもなっている「倚りかからず」を高校の授業で習ったからでした。
この詩の凛とした強さが印象的だったのを覚えています。
その時『詩のこころを読む』も課題になったか何かで読んだはずなんですが、残念ながら記憶に残っていない・・・
久々に茨木さんの詩を読みましたが、厳しさの中に強さや優しいまなざしがあってやっぱり素敵。
ピカソやマザーテレサについて書かれてあるものや、戦争に関するもの、自分の病気に関するものなども印象的でした。
これまで小説ばかり読んできたけれど、詩の世界っていいなと改めて実感、ハマりつつあります。
「倚りかからず」はもちろん「木は旅が好き」「時代おくれ」も好きになりました。
もう一つ、とても気に入った詩があったので引用させてもらいます。
「苦しみの日々 哀しみの日々」
苦しみの日々
哀しみの日々
それはひとを少しは深くするだろう
わずか五ミリくらいではあろうけれど
さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき 初めて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと
少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
やがては解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけれど
(わからないよりはいいだろう)
苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである
受けとめるしかない
折々の小さな刺や 病でさえも
はしゃぎや 浮かれのなかには
自己省察の要素は皆無なのだから
茨木さんの詩をもっともっと読みたい!