はぴの本棚

2003年からの読書日記

雨ふる本屋 (単行本図書)作者: 日向理恵子,吉田尚令出版社/メーカー: 童心社発売日: 2008/11/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (14件) を見る

本好きの気持ちをくすぐるタイトルです。
本屋とついているとつい読みたくなってしまう私(笑)

雨宿りをするために立ち寄った図書館でカタツムリを追いかけて行くうちに不思議な本屋(雨ふる本屋)に迷い込んでしまったルウ子。
最近は病気がちな妹のサラに母親を独り占めされて、複雑な気持ちを抱いている日々。
ちょっと違うけれど、何かを追いかけて異世界へ行くというのは『不思議な国のアリス』っぽい感じもしました。


雨ふる本屋、お店の中に雨が降っているというのがまず斬新。
本に水は厳禁なのに!
ここではしゃべるドードー鳥のフルホンさんと妖精の助手舞々子さんがいて、人間が途中で忘れてしまった書きかけの物語を雨を利用して仕上げているのでした。


>「人間のからだのほとんどが水でできているのは、知っているかしら。からだだけじゃなく、心も、そうなのよ。だから、ひどくかなしかったり、うれしかったりすると、涙が出てくるでしょう。」


フルホンさんと舞々子さん、シオリ、セビョーシという本にちなんだ妖精や人間に変身できる青い鳥のホシ丸など登場人物はいいなと思いましたが、なぜだろう?魅力的な登場人物や設定なのに物語に入り込めそうで入れないもどかしさを感じたまま読み終わってしまったのが残念です。


主人公のルウ子のトゲトゲした気持ちが長く続いていまいち共感できなかったのもあるし、()で書かれた注釈っぽい部分がけっこう多いのにもうるさく感じてしまったのかも。
でもホッとする結末には救われました。


ちょっと辛口になってしまったけれど、著者は1984年生まれで幼少の頃からおとぎ話を書き始めたそう。
今後の活躍に期待したいと思います。