はぴの本棚

2003年からの読書日記

時の扉をくぐり作者: 甲田天,太田大八出版社/メーカー: BL出版発売日: 2008/02メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る

広重や北斎に会いにゴッホの幽霊がはるばる鎖国中の日本へ来るなんて(笑)
調べてみたらゴッホの亡くなったのは広重や北斎より後。
幽霊になって過去に戻ってきたということになるのかな?
突拍子もない設定なのに面白かったです。


語り手である広重の弟子の佐吉もよかったし、通訳する又三も魅力的。
ゴホさん(ゴッホ)の願いを叶えるため広重、佐吉、又三が小布施にこもっている北斎に会いに行く珍道中が始まります。
広重と北斎のライバル関係にも興味津々だったし、佐吉と又三、若い二人の自分探しの旅という側面もあり楽しめました。



紹介される絵のことが語られる部分ではいまいちピンと来なかったのが残念。
教科書で見たことがあるくらいで記憶も怪しかったので後で調べて「あぁ、この絵だ」という感じでした。

北斎の小布施の龍図は知らなかったのですが、パソコンの画面で見ただけなのにすごい迫力を感じました。
これを80過ぎた老人が描いたなんて・・・現在は高齢化社会で80歳以上の人は多いけれど当時はかなり珍しかったはず。
最後まで情熱を燃やし続けた画家だったのだろうなと思いました。


ゴッホの人生にも興味を持ちました。
オランダ生まれで自画像やひまわりの絵ぐらいは知っていたのですが、画歴が10年ほどとは知りませんでした。
耳を切り落としたことや弟のテオとの関係などはチラッと耳にしたくらいなのでもっと知りたくなりました。

またあとがきによるとゴッホはアルル地方を日本に見立てて暮らしていたのだそうです。
北斎や広重、写楽の浮世絵を愛していたとのこと。
ゴッホの願いが本の中で叶えられたようでとても素敵だと思いました。