はぴの本棚

2003年からの読書日記

達者でポックリ。作者: 帯津良一出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2008/10/01メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (5件) を見る

母に借りた本です。
文字サイズが大きいので(本の内容からも年配の方に配慮しているんでしょうね)あっという間に読めました。


帯を引用します。


人間にはちょうどよい「死に時」がある

寝たきりや要介護、認知症で周囲に迷惑をかけることなく、最期まで元気に楽しく生きるにはどうしたらいいのか?
名医が本音で語る死を見据えた「攻めの養生」のすすめ。



第一部 ポックリ編 ちょうどよい「死に時」とは

第二部 お達者編 死ぬまで元気に楽しく生きる


最初にポックリ編(上手な死に方や、死に直面した時の心構えについて)が来るのが面白いです。

>「死」についてしっかり考え、腹を決めていないことには、「生」を全うすることはできない

順番が逆のように思えますが、著者の考えを読んで納得できました。



ちょうどよい「死に時」はいつなのか?
一概には言えないが一般的には80歳ぐらい(一番遅めでも90代の半ばぐらい)がいいのではないかと思うと著者は述べています。


なんだか早いような気がしてしまいますが、80歳ならばまだかくしゃくとしている人がたくさんいるという理由からだそう。
各界の健康法の大家の何人かを例にあげて、皆長生きはしておらず「みんなちょうどいい死に時を見つけてピタッといっているような気がするのです」とも述べています。


著者が考えた「生命場」はとても印象に残りました。
西洋医学の現場に長年身を置いてきたけれど疑問や限界を感じ、部分を診る医療から全体を診るホリスティック医学を追い求めてきた著者。
臓器を一つ一つ別のものととらえその間の空間を無視してきた西洋医学の考え方ではなく、臓器同士のつながりや空間を大切にした東洋医学的な考え方がやっぱり自然で受け入れやすいように思いました。


生命場を乱す原因を端的にいうと30%は食事にあり、残りの70%は心の問題であり、生命場を高めるには、「食」「気」「心」の3つの「養生」が根幹となるとも述べています。

食事にはなるべく気を遣うようにしていたつもりだけれど、30%とは意外に少ない・・・心の問題がかなり大きいことが分かりました。
心の健康って大事なんですね。
もっともっと気を遣わないといけないと思いました。


尊厳死についても考えさせられました。
もし自分が、末期状態になったらいたずらに死期を延ばすだけの治療はしたくないです。
でもいざ現実に直面したら気持ちが変わるのかもしれないし、家族としての立場だったら・・・少しでも長く生きていて欲しいと思ってしまうのかも。
難しいです。

日本尊厳死協会についても書かれてあり興味を持ちました。
http://www.songenshi-kyokai.com/

自分史、エンディングノートなどを書くという方法ももちろんありますが、日本尊厳死協会が発行している尊厳死の宣言書(リビング・ウィル)はいつか作りたいと思いました。



最後に載っていた帯津式「達者でポックリ」のための十二か条も参考になります。

1 できるだけ歩く
2 気功を身につける
3 旬のもの、地場のものを食べる
4 好きなものを少し食べる
5 酒をたしなむ
6 早寝早起き
7 いつも希望とときめきを
8 生きるかなしみ(旅情)をかみしめる
9 この世は品性を磨くための道場と心得る
10 折にふれ死を想う
11 わが弱点をサプリメントで補う
12 いい場に身を置く


全部取り入れるのは難しいかもしれませんが、私が特にいいなと思ったのは8、10、12。

8は7と相反するような気もしますが「本来人間はかなしくさびしい存在である」から無理に明るく前向きでいなくてもいいということ。
特に病気で苦しんでいて闘っている人は明るく前向きにというのは難しいし、酷なはず。

「明るく前向きでいなければ」と無意識に考えている自分がいたのでこの言葉で肩の力が抜けた気がしました。


10は死を身近なものとしてとらえるということ。
死は怖い、不安だと思い、つい日常では考えないようにしがちなんですが、
不安というのは、突き詰めれば自分の居場所がなくなることによるもの(大学名誉教授の言葉を例に挙げ)だそう。

>死の不安に打ち克つために一番大事なことは、「死後の世界」を信じることだと思います。

なかなか達観できない気がしますが少しでもそう思えるようになりたいです。


本もいくつか紹介されていました。
最近映画「おくりびと」が話題になりましたが、その原作になったと言われる青木新門さんの『納棺夫日記』や藤原新也さんの『メメント・モリ』も読んでみたいです。


12も目に見えないけれど感じることですね。
特に病院について触れられていましたが、これは人についても同じことがいえると思いました。