はぴの本棚

2003年からの読書日記

赤朽葉家の伝説作者: 桜庭一樹出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/12/28メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 148回この商品を含むブログ (506件) を見る

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桜庭一樹さん、ずっと気になっていた作家です。
『私の男』も図書館に予約しているんですが、先にこちらを読むことができました。

上下二段組の分量なのでちょっと構えてしまいましたが、世界に入ると一気読み。
何がこんなに惹きつけるんだろう?と思うくらい夢中になっていたように思います。


鳥取県の旧家赤朽葉家の女性三人が物語の中心で、孫の瞳子が祖母万葉、母毛毬の人生を振り返りながら語っていく形式で進んでいきます。
赤朽葉家に嫁ぎ千里眼奥様と呼ばれた祖母万葉、不良少女としてまた漫画家として激しく生きた母毛毬、この二人の人生は波乱万丈!
あまりに劇的な人生の祖母と母なので、孫の瞳子が自分をものすごく平凡だと感じてしまう気持ちはなんだ共感できました。
それぞれの時代や社会情勢に絡んで書かれているので、読んでいて興味深く面白かったです。


私が生まれた頃は毛毬と瞳子の間くらい。
ぴったり重なる部分はなかったからか、どの時代の物語も冷静に読めたんですが特に祖母万葉の物語が好きでした。

万葉と職工の豊寿エピソードがいくつか出てくるのですが、切なくも微笑ましいような気持ちで読みました。


そして毛毬の異母妹の百夜の人生はなんともかわいそうで最期も哀れだなと思ってしまいました。
毛毬が光なら百夜は影・・・まさにそんな感じでした。


後半は少しミステリーっぽくなりましたが、私には人間ドラマの印象が強かったです。
三世代の女性の物語、堪能しました。
桜庭さんの作品はジャンルが幅広いイメージがあるので少しずつ読んでいきたいです。