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2003年からの読書日記

その日のまえに作者: 重松清出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/08/05メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 61回この商品を含むブログ (199件) を見る

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以前図書館で予約していたものの読む気分ではなくて、期限切れ。
再度予約し直してやっと順番が回ってきました。

涙もろいからきっと泣くだろうなと思っていたけれど、少し涙が出たくらいで案外冷静に読めました。
う〜ん、冷静というのとは違うかな。
落ち着いて読めたのは死が自分にとってまだ遠いような気がしているからかもしれません。

実際身近な家族や自分が病気になったらこんな感じかなと想像するくらいしかできないので、あと何年か、10年くらい経って登場人物の年齢に近づいて読んだら感想もまた違ってくるのかなと思いました。

永遠はないんだ・・・というような言葉が何度も出てきてすごく印象に残りました。
あと「考えることが答え」という言葉にも。
今自分が過ごしている日常が当たり前で、これがずっと続くように思ってしまうけれど、実はそうじゃなくて、奇跡のような積み重ねなのかもしれない。
そういう気持ちを読んでいて何度も味わいました。

その日のまえに」「その日」「その日のあとで」は病気になったのが妻であり、子育て中の母親なのもあって自分に近い気がして一番切なくなりました。

どの物語もよかったけれど、「ヒア・カムズ・ザ・サン」が一番好きでした。
構えてなかった分、思いがけず涙が出たのもこの話でした。

あちこちに登場人物が自然とリンクしているのも上手いなと思いました。
その日のまえに」で夫婦が訪れるかつて暮らした街のアパートの表札が「朝日のあたる家」に登場した二人の名前だったのに気づいた時はさすが重松さんだと思ってしまいました。

死を扱った物語なので、重くて悲しい部分も多かったけれど読後は不思議とあたたかい気持ちになりました。
またいつか再読する時が楽しみです。

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three bells > 重松さん大好きだけれど、読後はドーンときてしまいます。でも、もやもやした気分ではなく方向を指し示されたような終わり方なので救われます。再読したいリストに加えなきゃデスね。 (2006/08/06 11:48)
EKKO > 私は「その日」の主人公がの子どもの年齢が、私と同じだったので、もう他人とは思えなくて、辛かったです。辛い話が多かったですが、こういう現実も多くあるんですよね。こういうテーマに真正面から取り組んだ重松さんはすごいと思いました。 (2006/08/06 22:07)
さくら > 本当、哀しいのですが温かい気持ちになれる物語でしたね。
お父さんが「ダイ、お母さんすごくがんばったんだよ −」というところで私は号泣でした。この作品、身近な人を失ったことのある人は泣かずにはいられないだろうと思います。
まだしばらくは再読はできないだろうと思うけれど、いつか又絶対読み返したい作品です。 (2006/08/07 11:44)
ほっそ > こんにちは。私もさくらさんと同様の場面で泣きました。生まれて初めて本読んで、泣きました(T_T)/~~~ (2006/08/07 12:27)
トントン > three bellsさん、こんにちは♪読後はドーン・・・まだ数冊しか読んでないですが、分かるような気がします。でも光は見えるというか救われる終わり方なのはいいですよね。再読、いつかしたいと思います。
>EKKOさんは「その日」の子どもの年齢が同じだったんですね。それはかなり感情移入して読んでしまうかも。こういう辛い話、現実にはいっぱいあるんでしょうね。私もまだ体験していないだけでいつか「その日」は来るんだろうし・・本当に重いテーマだから、重松さんは書くのが大変だったでしょうね。さすがだなと思いました。
>さくらさん、読んでいて辛い部分も多かったですが、さくらさんもおっしゃっているように哀しくても温かい気持ちになれる物語でした。お父さんの場面、私もうるうるっときました。身近な人を失ったことのある人は泣かずにいられないだろうというのも、分かる気がします。私も再読はだいぶ先になりそうですがいつか必ず読みたいと思います。
>ほっそさんもさくらさんと同じ場面で泣いたんですね。私は泣き虫なので映画や本で泣いた経験は多いんですが、ほっそさんは初めてだったんですね。思い出に残る貴重な一冊ですね! (2006/08/07 13:58)
kanakana > 私は「ひこうき雲」が一番心に残りました。小6のとき、病気で亡くなった同級生がいたのです。正直言ってその男の子の事はずっと思い出すこともなかったのに、この本を読んで思い出しました。。。 (2006/08/07 21:36)
エアロール > 『きみの友達』以来の重松ファンです。この作もズシーンと心に重石を投げられたようです。また読者に多くの課題を残してくれました。誰もが迎える”その日”のために毎日が貴重なんだよ〜って怠惰な生活をしてる私には耳が痛い★ (2006/08/08 11:36)
トントン > kanakanaさん、おはようございます♪小説と重なるような経験をされたんですね。普通に読んでもリアルに感じる重松作品だけど、実際自分と重なる部分があるとさらにそう思ってしまいますね。
>エアロールさん、初めまして。
>心に重石を投げられたよう
本当にそうですね。「その日」はいつか必ずやってくるんだけど、自分がその時どう受け止めるか今はまだ全く予想がつかない感じです。でもこの本を読んでちょっと立ち止まって考えることだけでも大切だなと思いました。エアロールさん、おすすめの『きみの友達』もぜひ読んでみたいです。 (2006/08/09 06:56)
エアロール > トントンさん是非重松作品はまってみてください。 (2006/08/10 11:31)
トントン > エアロールさん、こんばんは♪読むほどにはまっていきそうですね。重松作品はたくさんあるので少しずつ読んでいきたいです。 (2006/08/10 23:38)