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2003年からの読書日記

犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎作者: コニー・ウィリス,大森望出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/04/17メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 46回この商品を含むブログ (145件) を見る

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オックスフォード大学史学部の学生ネッド・ヘンリーは、コヴェントリー大聖堂の再建計画の資料集めのため責任者のレイディ・シュラプネルに駆り出され、何度も時間旅行をしていました。

空襲の時、大聖堂にあったはずの「主教の鳥株」という花瓶を見つけ出すのが任務です。
しかし、タイムラグ(時代差ぼけ)がひどくなり疲労困憊で倒れてしまいます。
絶対安静を言い渡されていましたが、シュラプネルがいる現代ではゆっくり休めそうもなく・・・

ダンワージー教授の提案でゆっくりできるであろう19世紀のヴィクトリア朝に派遣されることになりますが、
タイムラグがひどかったので自分がそこで何をしなければならないのかも分からない状態。
ネッドには重要な任務を授けられていたのですが・・・

上下段びっしりでかなり分厚いこの本。
海外小説は苦手な私ですが、著者の『ドゥームズデイ・ブック』がかなりよかったので期待して読みました。
でも、最初は全然内容についていけずさっぱり分からない・・・
例えや詩の引用が頻繁に出てきてこんがらがるし、SF用語もそちらに疎い私にはちょっと分かりづらいし、何度も読むのを止めようと思ったくらいです。

全部読み終わってあとがきを読んだら分からないのは読者のせいじゃないみたい。
ネッドのタイムラグ(時代差ぼけ)症状があんな文章になってたんですね。

19世紀でネッドが休息しようとすると邪魔が入る場面がかなり面白くて、何度も笑ってしまいました。
ドゥームズデイ・ブック』はかなり緊迫感があり、ずっとグイグイ読者を引っ張る感じだったけれど、これは19世紀らしくゆったり進む感じです。
個人の行動で歴史が変わってしまうかも・・・という大変な状況ですが、その割には登場人物も(動物達も)なんだか面白い。
シリアスな小説もよかったけれど、私はこっちの方が好きかな。
ユーモアあり、ロマンスあり、もちろんSF要素ありで一粒で何度でもおいしい感じの物語でした。

『ボートの三人男』のオマージュということで随所に『ボートの三人男』の例えが出てきます。
私は前に読んだので少し覚えていたからよかったです。
これからの人は先に『ボートの三人男』を予習しておいたらより楽しめると思います。
もちろん読んでなくても十分楽しいとは思いますが。
最初の何十ページかは苦痛だったけれど、それを乗り越えればはまります♪


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ココ > 私も最初の方は苦労しました〜。でもそれを過ぎると今度は先が気になって読み飛ばしそうな勢いにまでなりました(笑)。で、ラストまで読んでから最初のよくわからなかったところを読むと、あーそういうことだったのか!と理解できてまた楽しかったり。最後のフィンチのプレゼント、よかったですね〜。 (2005/03/30 00:10)
EKKO > そうそう、私も前半は自分がタイムラグに陥ったのかと思ったほど苦労しました。私は「ドゥームズ〜」の方が肌にあったのですが、これはなんとなくとぼけた持ち味の登場人物たちが楽しかったです。 (2005/03/30 00:59)
すもも > トントンさん。わたしも前半、挫折しそうになりました。でも本プロで励まされ(?)あとはしっかり波に乗って、楽しめました。文庫になるのが、待ち遠しいです。 (2005/03/30 09:13)
トントン > ココさん、最初は自分の理解不足かと思ってて本気で止めようと思ってたんですよ・・・でも頑張って読み続けてよかったです。私も途中からは読み飛ばしそうな勢いになりました。フィンチのプレゼント、本当によかったですよね♪
EKKOさんは「ドゥームズ〜」の方がよかったんですね。どちらも分厚いですが、存分に楽しませてもらいました。シリアスな小説もユーモアのある小説でもウィリスさんは楽しませてくれますね!
すももさんも挫折しそうになったと聞いてほっとしてます(笑)波に乗ればスイス〜イでしたね。文庫化私も楽しみです。 (2005/03/30 22:09)