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2003年からの読書日記

淳子のてっぺん作者: 唯川恵出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/09/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る

「エベレスト? 女なんかに登れるもんか」
そんな男の言葉に負けん気を発揮、 女性だけの隊で頂きを目指し、 8848メートルに立った淳子。
山頂から彼女が見たものは――。

女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した田部井淳子さんをモデルに書き上げた小説とのこと。
素晴らしかったです!
田部井淳子さんのことは少し知っているくらいでしたが、子ども時代から東日本震災後の活動まで田部井さんの人生を眺めているような気持ちで読みました。
小説と分かっていても「こんな人だったのかもしれない」と思い夢中になりました。

私が運動苦手なこともありますが、登山の第一印象はただただ苦しそう(笑)
でも苦しさ以上に得られるものがたくさんあるんでしょうね。

自分の経験できないことを疑似体験できるのは読書の素晴らしいところだなと思います。
読んでいると一緒に登っているような気持ちになるのが不思議。
女性だけでエベレスト登頂するまでには、どれだけの苦労や困難があったのかを少しでも感じることができたのもよかったです。

淳子が出会った人との縁も大きかったと思います。
幼なじみの勇太との再会、麗香との出会い、松永、マリエ、日本女子登山隊のメンバー・・・

そして、夫となる正之さんがとても素敵でした。
淳子を理解してくれて同じ山屋として支えてくれる存在がなければエベレスト登頂はなかったような気がしました。

>「生きるってことは前に進み続けてゆくってこと」

この言葉がとても印象に残っています。
登山と人生は似ているのかもしれないと感じました。


北村薫さんの『八月の六日間』も好みでしたが、こちらもとてもよかったです。
田部井さんが書かれている本も少しずつ読んでいきたいです。